はじめに
「トータルフロートの求め方は分かったつもりなのに、問題になると計算できない……」
「最早開始時刻や最遅完了時刻は出せても、どの数字を使ってトータルフロートを求めればよいの?」と迷っていませんか。
基本情報技術者試験や応用情報技術者試験、プロジェクトマネジメントの学習でネットワーク図を解いていると、前進計算や後退計算までは進められても、最後のトータルフロートの計算で手が止まってしまうことがあります。
この記事では、トータルフロートの意味から基本公式、計算手順、例題を使った求め方までを整理しながら解説します。
トータルフロートの求め方
トータルフロートを正しく求めるには、まず計算式と使用する時刻の組み合わせを理解することが重要です。
ここでは、基本となる計算式と別の求め方を確認したうえで、トータルフロートが表す余裕時間の意味を整理していきます。
トータルフロートの基本式
トータルフロートは、作業をどれだけ遅らせても全体の完了日に影響しないかを示す余裕時間です。
基本式は「最遅完了時刻-最早開始時刻-作業日数」で求めます。
たとえば、最遅完了時刻が10、最早開始時刻が2、作業日数が5なら、10-2-5=3となり、トータルフロートは3日です。
「最遅終了時刻-最早終了時刻」で求める場合
トータルフロートは、「最遅完了時刻-最早開始時刻-作業日数」だけでなく、「最遅終了時刻-最早終了時刻」でも求められます。
最早終了時刻と最遅終了時刻が分かっていれば、2つの時刻の差を計算するだけで、同じトータルフロートを求められます。
トータルフロートは作業全体で使える余裕時間を表す
トータルフロートは、その作業を何日遅らせてもプロジェクト全体の完了日に影響しないかを示す余裕時間です。
たとえば、トータルフロートが3日なら、その作業は3日までの遅れであれば、全体の完了日は変わりません。
トータルフロートを求める計算手順
トータルフロートは公式を覚えるだけではなく、必要な数値を正しい順番で確認しながら計算することが大切です。
ここでは、トータルフロートを求める具体的な手順を順番に確認していきます。
作業日数を確認する
まずは対象作業の作業日数を確認します。
トータルフロートを「最遅完了時刻-最早開始時刻-作業日数」で求めるため、作業日数を間違えると計算結果も変わってしまいます。
最初にネットワーク図に記載された日数を確認しておきましょう。
最早開始時刻と最遅完了時刻を確認する
次に、対象作業の最早開始時刻と最遅完了時刻を確認します。
トータルフロートは、この2つの時刻を使って計算します。ネットワーク図や計算結果を見ながら、該当する数値を確認しましょう。
公式に数字を入れて余裕時間を求める
確認した最遅完了時刻、最早開始時刻、作業日数を公式に当てはめて計算します。
「最遅完了時刻-最早開始時刻-作業日数」で求めた値が、その作業のトータルフロートです。
例題|トータルフロートの求め方
計算式の意味を理解できても、実際の問題でどの数字を使うのか迷うことがあります。
ここでは、時刻と作業日数の整理から計算結果の読み取り方まで順番に見ていきます。
作業日数と時刻を表にして整理する
まずは、対象作業の作業日数、最早開始時刻、最遅完了時刻を表にして整理します。たとえば、作業Aの作業日数が5日、最早開始時刻が2日、最遅完了時刻が10日だった場合、次のようにまとめると計算しやすくなります。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 作業日数 | 5日 |
| 最早開始時刻 | 2日 |
| 最遅完了時刻 | 10日 |
数字を先に整理しておくと、計算ミスを防ぎやすくなります。
計算式に当てはめてトータルフロートを出す
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 作業日数 | 5日 |
| 最早開始時刻 | 2日 |
| 最遅完了時刻 | 10日 |
表で整理した数値を公式に当てはめて計算します。
今回の例では、最遅完了時刻が10日、最早開始時刻が2日、作業日数が5日なので、「10-2-5=3」となり、トータルフロートは3日です。
トータルフロートが3日ある場合、この作業は3日までの遅れであれば、プロジェクト全体の完了日に影響しません。
まずは公式どおりに計算し、余裕時間を確認することが大切です。
トータルフロートが0の作業は遅らせられない
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 作業日数 | 5日 |
| 最早開始時刻 | 2日 |
| 最遅完了時刻 | 10日 |
たとえば、最遅完了時刻が8日、最早開始時刻が3日、作業日数が5日の場合、「8-3-5=0」となり、トータルフロートは0日です。
トータルフロートが0の作業には余裕時間がありません。そのため、1日でも遅れるとプロジェクト全体の完了日も遅れてしまいます。
ネットワーク図では、このような作業を優先して管理することが大切です。
トータルフロートとフリーフロートの違い
トータルフロートとフリーフロートはどちらも余裕時間を表しますが、影響を判断する対象が異なります。
ここでは、それぞれが表す余裕時間の違いと、求め方を区別するためのポイントを確認していきます。
トータルフロートは全体工程に対する余裕時間
トータルフロートは、その作業を何日遅らせてもプロジェクト全体の完了時刻に影響しないかを示す余裕時間です。
たとえば、トータルフロートが3日なら、その作業は3日までの遅れであれば、全体工程の完了時刻は変わりません。
フリーフロートは次の作業に影響しない余裕時間
フリーフロートは、その作業を何日遅らせても直後の作業の最早開始時刻に影響しない余裕時間です。
たとえば、フリーフロートが2日なら、その作業は2日までの遅れであれば、次の作業の開始時刻は変わりません。
求め方を混同しないように注意する
トータルフロートは全体工程への影響を基準に、フリーフロートは後続作業への影響を基準に計算します。
使う時刻や計算式が異なるため、どちらを求める問題なのかを確認してから計算しましょう。
トータルフロートを求めるときの注意点
トータルフロートの計算は公式自体はシンプルですが、使う数値を取り違えると答えが変わってしまいます。
ここでは、計算時に間違えやすいポイントを確認しながら、正しく求めるための注意点を整理していきます。
作業日数を引き忘れない
トータルフロートを「最遅完了時刻-最早開始時刻-作業日数」で求める場合、作業日数を引き忘れると正しい値になりません。
時刻の差を求めた後は、作業日数を忘れずに差し引きましょう。
開始時刻と終了時刻を混同しない
最早開始時刻と最早完了時刻、最遅開始時刻と最遅完了時刻は、それぞれ異なる数値です。
開始時刻を使う式なのか、終了時刻を使う式なのかを確認してから計算しましょう。混同すると、トータルフロートを誤って求めてしまうことがあります。
公式だけでなく、どの時刻を使うかを確認する
トータルフロートは、「最遅完了時刻-最早開始時刻-作業日数」や「最遅終了時刻-最早終了時刻」で求められます。
公式だけを覚えるのではなく、問題で与えられているのが開始時刻なのか終了時刻なのかを確認してから計算しましょう。
まとめ
トータルフロートは、作業をどれだけ遅らせてもプロジェクト全体の完了時刻に影響しない余裕時間です。
基本は「最遅完了時刻-最早開始時刻-作業日数」で求め、問題によっては最遅終了時刻と最早終了時刻の差から計算することもあります。
計算するときは、作業日数や開始時刻、終了時刻を正しく確認することが大切です。
特に、作業日数の引き忘れや時刻の取り違えは間違いやすいため、公式だけでなく、それぞれの時刻の意味も合わせて理解しておきましょう。
また、トータルフロートが0の作業は余裕時間がなく、プロジェクト全体の進行に大きく関わります。
計算方法だけでなく、余裕時間が何を表しているのかを理解しておくと、試験問題でも落ち着いて判断しやすくなります。