目次
はじめに
「最早開始時刻は前から計算するの?それとも後ろから計算するの?」
「最遅完了時刻を求める問題で、どの数字を使えばよいのか分からない……」と迷っていませんか。
基本情報技術者試験や応用情報技術者試験、社内研修の工程管理学習では、ネットワーク図を見ながら最早開始時刻や最遅完了時刻を計算する問題がよく出題されます。
この記事では、最早開始時刻と最遅完了時刻の計算方法、問題を解くときの手順、答えを間違えないための確認ポイントまで順を追って説明していきます。
最早開始時刻と最遅完了時刻の基本
最早開始時刻と最遅完了時刻は、ネットワーク工程表の問題を解くうえで最初に理解しておきたい基本用語です。
まずは両者が何を表しているのかを確認し、計算に入る前に違いを整理しておきましょう。
最早開始時刻は作業を最も早く始められる時刻
最早開始時刻とは、その作業に先行するすべての作業が終わったあと、最も早く始められる時刻のことです。
ネットワーク工程表では、開始点から順番に前の作業の所要時間を足しながら計算します。
複数の作業が合流する結合点では、すべての作業が終わるまで待つ必要があるため、到達時刻の中で最も大きい値を最早開始時刻として採用します。
そのため、この時刻より前に作業を始めることはできません。
最遅完了時刻は作業を遅くとも終えなければならない時刻
最遅完了時刻とは、プロジェクト全体の完了時刻を遅らせないために、その作業を遅くとも終えなければならない時刻のことです。
ネットワーク工程表では、終了点から逆向きに計算し、後続作業の開始時刻から所要時間を引いて求めます。
複数の作業へ分岐する結合点では、すべての後続作業に間に合わせる必要があるため、候補の中で最も小さい値を最遅完了時刻として採用します。
この時刻を過ぎると、後続工程やプロジェクト全体の進行に影響する可能性があります。
最早開始時刻の計算の出し方
最早開始時刻は、開始点から順番に作業時間を加算しながら求めていきます。
ここでは、最早開始時刻を正しく求めるための計算手順を確認していきましょう。
前の作業時間を足して前へ進める
最早開始時刻は、開始点から終了点へ向かって順番に計算します。
各結合点では、前の結合点の時刻に作業時間を足して、次の結合点の時刻を求めます。
例えば、結合点の時刻が5日で作業時間が3日なら、次の結合点は8日です。
このように、前の時刻へ作業時間を足しながら順番に計算していきます。
複数の作業が合流する場合は大きい方を選ぶ
複数の作業が1つの結合点に集まる場合は、到達時刻の中で最も大きい数値を選びます。
すべての先行作業が終わらないと、次の作業を始められないためです。
例えば、到達時刻が8日と10日なら、8日の時点では10日の経路がまだ終わっていないため、結合点の時刻は10日になります。
合流点では「大きい方を選ぶ」と覚えておくと分かりやすいでしょう。
最遅完了時刻の計算の出し方
最遅完了時刻は、プロジェクトの終了時点から逆方向にたどりながら計算します。
最早開始時刻とは計算の向きが逆になるため、同じ感覚で進めると間違えやすくなります。
ここでは、後退計算の進め方と分岐点での数値の選び方を確認していきましょう。
後ろの作業時間を引いて戻る
最遅完了時刻は、終了点から開始点へ向かって逆順に計算します。
各結合点では、後ろの結合点の時刻から作業時間を引いて、前の結合点の時刻を求めます。
例えば、後ろの結合点が15日で作業時間が4日なら、前の結合点は11日です。
このように、後ろの時刻から作業時間を引きながら順番に計算していきます。
複数の作業に分かれる場合は小さい方を選ぶ
複数の後続作業へ分かれる結合点では、計算した時刻の中で最も小さい数値を選びます。
どの後続作業にも遅れずに間に合わせる必要があるためです。
例えば、計算結果が12日と15日なら、15日では12日の経路に間に合わないため、結合点の時刻は12日になります。
分岐点では「小さい方を選ぶ」と覚えておくと分かりやすいでしょう。
例題|最早開始時刻と最遅完了時刻の計算手順
計算方法を理解していても、実際の問題ではどの順番で数値を書き込めばよいのか迷うことがあります。
例題を使って最早開始時刻と最遅完了時刻を順番に計算しながら、合流点や分岐点で数値を選ぶ場面もあわせて確認していきましょう。
最早開始時刻を前から計算する
最早開始時刻は、開始点から終了点へ向かって左から右へ順番に計算します。
開始点を0日として、前の結合点の時刻に作業時間を足し、次の結合点の時刻を求めていきます。
例えば、開始点から作業Aが3日、続く作業Bが4日なら、結合点の時刻は0日→3日→7日となります。このように前の時刻へ作業時間を足しながら計算します。
途中で複数の作業が合流する場合は、到達時刻の中で大きい方の値を選びます。
最遅完了時刻を後ろから計算する
最遅完了時刻は、終了点から開始点へ向かって右から左へ逆順に計算します。終了点の時刻を基準にして、後ろの結合点の時刻から作業時間を引き、前の結合点の時刻を求めていきます。
例えば、終了点が15日で作業時間が4日なら、前の結合点は11日です。さらに作業時間が3日なら、その前の結合点は8日になります。
このように、後ろの時刻から作業時間を引きながら順番に計算します。
最早開始時刻の計算で大きい方・小さい方を選ぶ場面を確認する
最早開始時刻を計算するときは、複数の作業が1つの結合点に集まる場面で、大きい方の値を選びます。すべての先行作業が終わってから次の作業を始めるためです。
反対に、最遅完了時刻を計算するときは、複数の後続作業へ分かれる場面で、小さい方の値を選びます。どの後続作業にも遅れずに間に合わせる必要があるためです。
「最早開始時刻は大きい方」「最遅完了時刻は小さい方」と覚えておくと、計算問題でも迷いにくくなります。
【表】最早開始時刻と最遅完了時刻の違い
最早開始時刻と最遅完了時刻は関連する用語ですが、計算の進め方や数値の選び方が異なります。
問題を解くたびに混同しないよう、それぞれの違いを表で整理しながら確認していきましょう。
計算する向きの違い
| 項目 | 最早開始時刻 | 最遅完了時刻 |
|---|---|---|
| 計算する向き | 開始点→終了点 | 終了点→開始点 |
| 計算方法 | 前の時刻+作業時間 | 後ろの時刻-作業時間 |
| 計算の呼び方 | 前進計算 | 後退計算 |
| 合流・分岐で選ぶ値 | 合流点で大きい方 | 分岐点で小さい方 |
最早開始時刻は開始点から終了点へ向かって計算し、前の時刻に作業時間を足して求めます。
一方、最遅完了時刻は終了点から開始点へ戻り、後ろの時刻から作業時間を引いて計算します。
計算する向きと足し引きの違いをセットで覚えておくと、問題を解くときに迷いにくくなります。
合流と分岐で選ぶ数字の違い
| 場面 | 最早開始時刻 | 最遅完了時刻 |
|---|---|---|
| 複数の作業が集まる合流点 | 大きい方を選ぶ | - |
| 複数の作業へ分かれる分岐点 | - | 小さい方を選ぶ |
| 選ぶ理由 | すべての先行作業が終わってから開始するため | どの後続作業にも遅れずに間に合わせるため |
最早開始時刻では、複数の作業が合流する場合に大きい方の値を選びます。
一方、最遅完了時刻では、複数の作業へ分岐する場合に小さい方の値を選びます。
「最早開始時刻は大きい方」「最遅完了時刻は小さい方」と覚えておくと、計算問題でも判断しやすくなります。
まとめ
最早開始時刻と最遅完了時刻は、どちらもネットワーク工程表を解くうえで欠かせない時刻ですが、計算する向きや数値の選び方が異なります。
最早開始時刻は開始点から前へ進み、最遅完了時刻は終了点から後ろへ戻るという違いを理解することが大切です。
また、合流点では大きい方、分岐点では小さい方を選ぶというルールも、計算問題でよく使われます。
最初は複雑に感じるかもしれませんが、「前から足す」「後ろから引く」という基本を意識して繰り返し練習すれば、少しずつ迷わず計算できるようになるでしょう。