目次
はじめに
「伝達関数で外乱がある場合は、どのように考えればよいのだろう?」
「ブロック線図に外乱が加わると、どこから式を立てればよいのか分からない」と悩んでいませんか。
制御工学を学んでいると、入力と出力だけの伝達関数は理解できても、外乱が加わったブロック線図になると信号の流れが複雑に見え、伝達関数の求め方が分からなくなって手が止まってしまうことがありますよね。
この記事では、伝達関数で外乱を考える基本的な方法をはじめ、ブロック線図での見方や伝達関数の求め方、具体例を交えながら順を追って説明していきます。
伝達関数でいう「外乱」とは?
伝達関数を学び始めると、「外乱」という言葉を目にする機会が増えます。
ここでは、まず制御工学における外乱の基本的な意味を整理し、そのうえで外乱を考慮する理由について順番に説明します。
制御工学における外乱の意味
制御工学における外乱とは、制御対象に対して目標値とは別に加わり、出力を変化させる要因のことです。
入力信号は制御対象を意図した値へ動かすための信号ですが、外乱は制御者の意図とは関係なく作用するため、入力が変わらなくても出力が目標値からずれることがあります。
伝達関数では、外乱も入力とは別の信号として扱い、出力へどの程度影響するのかを表します。
これにより、外乱が加わった場合の出力変化を計算できるようになります。
なぜ外乱を考える必要があるのか
外乱を考えずに伝達関数を求めると、入力だけが変化する場合の出力しか評価できません。
しかし、実際の制御対象には運転中に外乱が加わるため、入力が一定でも出力が目標値からずれることがあります。
そのため、入力から出力への伝達関数だけでなく、外乱から出力への伝達関数も求めることで、外乱が加わったときに出力がどれだけ変化するかを計算できます。
これにより、外乱の影響を小さくする制御方法を検討できるようになります。
伝達関数で「外乱あり」を考える基本
伝達関数で外乱を考えるときは、まず入力信号と外乱信号の役割を分けて整理することが大切です。
ここでは、入力と外乱の違いを確認しながら、外乱が出力へ与える影響と目標値入力との違いを順番に見ていきます。
入力と外乱は別の信号として扱う
伝達関数で外乱を考える場合は、入力信号と外乱を同じ信号として扱いません。
入力は目標値へ出力を変化させるために与える信号であり、外乱は制御対象へ意図せず加わる信号であるためです。
そのため、ブロック線図では入力と外乱を別の位置から加え、それぞれが出力へ与える影響を個別に表します。
このように区別することで、入力による出力の変化と、外乱による出力の変化をそれぞれ伝達関数として求められるようになります。
外乱があると出力はどう変わる?
外乱が加わると、入力信号が変わっていなくても出力は目標値からずれることがあります。
これは、入力による作用とは別に、外乱が制御対象へ影響を与えるためです。そのため、出力は入力だけで決まるのではなく、入力による影響と外乱による影響を合わせた結果として決まります。
伝達関数では、この2つの影響を分けて表すことで、外乱が加わったときに出力がどのように変化するかを計算できるようになります。
目標値入力と外乱入力の違い
目標値入力は、出力を目標値へ近づけるために制御者が与える信号です。
一方、外乱入力は制御者の意図とは関係なく制御対象へ加わる信号です。そのため、目標値入力は望ましい出力を実現するための信号であるのに対し、外乱入力は出力を目標値からずらす原因になります。
伝達関数では、この2つを別々の入力として扱い、それぞれが出力へ与える影響を個別に求めます。
ブロック線図で見る「外乱がある場合」の考え方
ブロック線図で外乱を考えると、数式だけでは分かりにくい信号の流れや出力への影響を視覚的に整理できます。
ここでは、外乱が加わる位置や信号の見方を確認しながら、ブロック線図で考えるメリットを順番に説明します。
外乱はどこに加わることが多い?
ブロック線図では、外乱は制御対象の入力側や制御対象の途中に加わる形で表すことが多くあります。
これは、外乱が制御信号とは別に制御対象へ作用するためです。そのため、入力信号とは異なる位置に加算点を設け、外乱信号を別の経路から加えます。
このように表すことで、外乱が制御対象へ加わった後に出力へどのような影響を与えるかを、入力信号とは分けて考えられるようになります。
制御入力と外乱入力を分けて見る方法
ブロック線図では、制御入力と外乱入力を別々の信号として考えます。
制御入力は制御器を通って制御対象へ伝わりますが、外乱入力は別の加算点から制御対象へ加わります。そのため、制御入力による出力の変化と、外乱入力による出力の変化をそれぞれ個別に追うことができます。
このように信号の経路を分けて考えることで、それぞれが出力へ与える影響を伝達関数として整理しやすくなります。
ブロック線図から考えると理解しやすい理由
ブロック線図では、入力信号、外乱、出力までの信号の流れを矢印で確認できるため、外乱がどの位置で加わり、どの経路を通って出力へ影響するのかを順番に追えます。
そのため、数式だけを見て考える場合よりも、入力と外乱の違いや、それぞれが出力へ与える影響を区別しやすくなります。
信号の流れを整理してから伝達関数を求めることで、計算の意味も理解しやすくなります。
外乱から出力までの伝達関数はどう求める?
外乱がある制御系では、目標値から出力までの伝達関数だけでなく、外乱が出力へどのように影響するかを表す伝達関数も求める必要があります。
ここでは、入力から出力までの伝達関数との違いを確認したうえで、外乱から出力までの伝達関数の求め方と、分母が同じになる理由を順番に説明します。
入力→出力の伝達関数との違い
入力から出力までの伝達関数は、入力信号を変化させたときに出力がどのように変わるかを表します。
一方、外乱から出力までの伝達関数は、入力信号を一定としたまま、外乱が加わったときに出力がどのように変化するかを表します。そのため、どちらも出力との関係を求める伝達関数ですが、変化させる信号が異なります。
伝達関数を求めるときは、対象とする入力信号を明確に区別して考えることが重要です。
外乱→出力の伝達関数の考え方
外乱から出力までの伝達関数を考えるときは、外乱を入力信号として扱い、出力との関係を求めます。
このとき、目標値入力は変化しないものとして考え、外乱だけが出力へ与える影響を計算します。そのため、外乱が加わったときに出力がどの程度変化するかを個別に評価できます。
この考え方により、外乱の影響を数式で表し、制御性能を確認できるようになります。
分母が同じになる理由
外乱から出力までの伝達関数と、入力から出力までの伝達関数では、分子は異なる場合がありますが、分母は同じになることが多くあります。
これは、どちらも同じ制御系の中で出力が決まるため、制御系全体の特性を表す部分は共通だからです。そのため、入力信号を変えても外乱信号を変えても、制御系そのものが変わらない限り、分母は同じ形になります。
違いは、どの信号が出力へ影響を与えるかによって分子に現れます。
一次系で見る「外乱がある場合」の具体例
外乱の考え方は、一次遅れ系のようなシンプルな制御系で確認すると理解しやすくなります。
ここでは、一次遅れ系を例にしながら、外乱による影響とフィードバックによる抑制の考え方を順番に見ていきます。
一次遅れ系で考える簡単な例
一次遅れ系では、入力信号だけでなく外乱も出力へ影響を与えるものとして考えます。
そのため、入力が一定でも外乱が加わると出力は変化し、時間の経過とともに一次遅れ系の特性に従って変動します。
このような例で考えると、入力による出力の変化と外乱による出力の変化を分けて理解しやすくなり、外乱から出力までの伝達関数が必要になる理由も把握しやすくなります。
外乱が加わると偏差が発生する理由
外乱が加わると、出力は目標値からずれるため偏差が発生します。
これは、入力信号が変わっていなくても、外乱が制御対象へ加わることで出力だけが変化するためです。
その結果、目標値と実際の出力の間に差が生じます。この差が偏差であり、外乱が大きいほど出力のずれも大きくなります。
フィードバック制御で外乱を抑える考え方
フィードバック制御では、出力が目標値からずれると、その偏差に応じて制御入力を変化させます。
そのため、外乱によって出力が変化しても、制御入力を調整することで出力を目標値へ近づけることができます。
このように、出力を常に監視しながら制御入力を修正する仕組みによって、外乱による影響を小さくすることができます。
伝達関数で外乱を考えるときによくある疑問
伝達関数で外乱を学ぶと、「なぜ外乱を入力として考えるのか」「外乱が複数ある場合はどう扱うのか」など、基本的な考え方で疑問を持つことがあります。
ここでは、外乱に関して特に混乱しやすいポイントを取り上げ、順番に整理していきます。
なぜ外乱も入力として扱うの?
伝達関数では、出力を変化させる信号は入力として扱います。
外乱も制御対象へ加わることで出力を変化させるため、目標値入力とは別の入力として考えます。入力という言葉を使っていても、目標値へ出力を動かす信号と同じ意味ではありません。
外乱を入力として扱うことで、外乱が出力へ与える影響を伝達関数で表し、入力による影響と区別して計算できるようになります。
外乱が複数ある場合はどうする?
外乱が複数ある場合は、それぞれを別々の入力信号として扱います。
ブロック線図では外乱ごとに加算点や入力経路を設け、それぞれが出力へ与える影響を個別に求めます。そのため、各外乱から出力までの伝達関数を計算し、それぞれの影響を分けて評価できます。
このように考えることで、どの外乱が出力へ大きく影響しているのかを整理しやすくなります。
定常偏差との関係は?
定常偏差は、外乱が加わったあとに時間が十分経過しても残る目標値と出力の差です。
外乱によって出力が目標値からずれると、その影響を完全に打ち消せない制御系では定常偏差が残ることがあります。そのため、外乱から出力までの伝達関数を求めることで、外乱が定常状態でどの程度の偏差を生じさせるかを評価できます。
これにより、制御系が外乱にどれだけ強いかを確認できるようになります。
まとめ
伝達関数で外乱を考えるときは、外乱を目標値入力とは別の入力信号として扱うことが基本です。
入力だけでなく外乱から出力までの伝達関数も求めることで、外乱が出力へどのような影響を与えるのかを把握できます。
また、ブロック線図で外乱がどこに加わるのかを確認すると、信号の流れや伝達関数の意味も理解しやすくなります。
外乱が複数ある場合も、それぞれを独立した入力として考えることが大切です。
最初は難しく感じるかもしれませんが、一次遅れ系などの簡単な例から確認すると、外乱を含む伝達関数の考え方をつかみやすくなります。
まずは「外乱は入力とは別の信号として扱う」という基本を押さえながら、ブロック線図とあわせて整理していきましょう。