はじめに
「部下や後輩に改善点を伝えたいけれど、どのように言えば相手を傷つけずに受け取ってもらえるのか分からない」
「注意や指摘をすると、相手のやる気を下げてしまいそうで伝え方に迷ってしまう」と感じたことはありませんか。
仕事の中では、ミスや行動の改善について伝える場面がありますが、感情的に注意したり、抽象的な表現で伝えたりすると、相手が何を直せばよいのか理解できず、同じ問題が繰り返されることもあります。
この記事では、SBI型フィードバックの意味や基本的なやり方、伝える際の具体例、相手に届きやすくするためのコツについて順を追って説明していきます。
SBI型フィードバックとは?

SBI型フィードバックは、相手の行動を具体的に振り返り、改善や成長につなげるための伝え方です。
ここでは、SBI型フィードバックを構成する3つの要素や、職場で活用することで得られるメリットについて順番に解説します。
Situation・Behavior・Impactの3要素で伝える手法
SBI型フィードバックは、「Situation(状況)」「Behavior(行動)」「Impact(影響)」の3つに分けて、相手の行動を具体的に伝える方法です。
まず「どのような場面だったか」を伝え、次に「どのような行動を取ったか」、最後に「その行動がどのような影響を与えたか」を説明します。
順番に整理して伝えることで、相手も自分の行動を振り返りやすくなります。
SBI型フィードバックを使うメリット
SBI型フィードバックを使うと、相手の性格ではなく、実際の行動をもとに伝えられるため、受け取りやすい内容になります。
また、良かった点や改善点を具体的に共有できるため、相手も次に意識する行動を考えやすくなります。
上司と部下の認識をそろえながら、成長につながるフィードバックを行いやすくなる点がメリットです。
SBI型フィードバックのやり方
SBI型フィードバックを実践するには、相手の行動を評価するのではなく、発生した事実を順番に整理して伝えることが重要です。
ここでは、SBI型フィードバックを構成するSituation・Behavior・Impactの3要素について、それぞれの伝え方を順番に解説します。
Situation|フィードバックする状況を具体的に示す
Situationでは、フィードバックの対象となる出来事が起きた状況を伝えます。
「いつ」「どの業務で」「どのような場面だったか」を明確にすることで、相手も対象となる出来事を振り返りやすくなります。
状況を共有してから話を進めることで、その後の行動や影響についても理解しやすくなります。
Behavior|観察した相手の行動を客観的に伝える
Behaviorでは、相手が実際に取った行動を具体的に伝えます。
「意識が高い」「努力不足」といった印象ではなく、発言や対応など確認できる事実をもとに伝えることが大切です。
行動を明確にすることで、相手も続けるべき点や改善する点を整理しやすくなります。
Impact|行動によって生じた影響を具体的に伝える
Impactでは、その行動によって周囲や業務にどのような影響があったのかを伝えます。
「作業がスムーズに進んだ」「確認の手間が増えた」など、具体的な変化を示すことで、行動の意味を理解しやすくなります。
影響まで伝えることで、次の行動につなげるきっかけになります。
SBI型フィードバックの具体例
SBI型フィードバックは、実際の場面でどのように伝えるかを理解することで、職場で活用しやすくなります。
ここでは、ポジティブな内容を伝える場合と改善を促す場合、さらに不適切な伝え方をSBI型に変える方法について具体例を交えて解説します。
良かった行動を伝えるポジティブフィードバックの例
例:
「先週のチーム会議で、〇〇さんが事前に資料を確認して要点を整理してくれたことで、議論がスムーズに進みました。準備を丁寧に行ったことで、メンバーも内容を理解しやすくなりました。」
SBI型では、良かった結果だけでなく、どの行動が役立ったのかを具体的に伝えることが大切です。相手も自分の強みや、今後続けたい行動を理解しやすくなります。
改善してほしい行動を伝えるフィードバックの例
例:
「昨日の報告会で、進捗状況の共有が予定より遅れました。そのため、チーム内で対応方法を検討する時間が少なくなりました。今後は、遅れが発生しそうな時点で早めに共有してもらえると助かります。」
改善点を伝える場合も、責めるのではなく、事実と影響を整理して伝えることが重要です。具体的な行動を示すことで、相手も次に意識するポイントを把握しやすくなります。
NGな伝え方をSBI型に直した改善例
NG例:
「もっと積極的に仕事をしてください。」
このような伝え方では、何を改善すればよいのか分かりにくく、相手も行動に移しにくくなります。
SBI型の例:
「先日の打ち合わせでは、質問や意見を出す場面が少なかったです。その結果、確認事項が後から増えて作業時間が延びました。次回は、疑問点があればその場で確認してもらえると、よりスムーズに進められます。」
SBI型に置き換えることで、人格ではなく具体的な行動に焦点を当てた伝え方になります。
SBI型フィードバックを効果的に伝えるコツ
SBI型フィードバックは、3つの要素に沿って伝えるだけでなく、相手が内容を正しく理解し、次の行動に移せるように工夫することが重要です。
ここでは、SBI型フィードバックを効果的に伝えるために意識したい、具体的な事実の伝え方や行動への焦点の当て方、相手との認識合わせの方法について順番に解説します。
具体的な場面と事実をもとに伝える
SBI型フィードバックでは、日時や業務内容など、相手が確認できる事実をもとに伝えることが大切です。
「最近よくできている」ではなく、「4月5日の会議で資料を事前共有した」のように具体的な場面を示すことで、相手も内容を理解しやすくなります。
人格を評価せず行動に焦点を当てる
フィードバックでは、相手の性格や姿勢を評価するのではなく、実際の行動について伝えることが重要です。
「責任感がない」ではなく、「提出期限を過ぎてから資料を共有した」のように行動を示すことで、改善点が分かりやすくなります。
相手への影響や周囲への変化を明確にする
Impactでは、その行動によって起きた結果や周囲への影響を具体的に伝えます。
「確認時間が不足した」「作業の調整が必要になった」など、実際の変化を示すことで、行動の意味を理解しやすくなります。
相手の認識を確認しながら次の行動につなげる
フィードバックを伝えたあとは、相手がどのように受け取ったかを確認することも大切です。
認識の違いをすり合わせ、次回意識する行動を一緒に決めることで、改善につながるフィードバックになります。
SBI型フィードバックを使うときの注意点
SBI型フィードバックは、状況や行動、影響を整理して伝えられる方法ですが、使い方を誤ると相手に意図が伝わらなかったり、改善につながらなかったりする場合があります。
ここでは、SBI型フィードバックを活用する際に注意したいポイントについて、具体的に解説します。
時間を空けすぎず適切なタイミングで伝える
SBI型フィードバックは、対象となる行動から時間を空けすぎずに伝えることが大切です。
時間が経つと、相手も当時の状況を思い出しにくくなり、内容を振り返りづらくなる場合があります。
できるだけ記憶が残っているタイミングで伝えることで、具体的な改善や継続につなげやすくなります。
推測や決めつけを事実として伝えない
フィードバックでは、相手の気持ちや考えを推測するのではなく、実際に確認できた行動をもとに伝えることが重要です。
「やる気がない」ではなく、「期限までに提出されなかった」のように事実を伝えることで、相手も改善点を理解しやすくなります。
改善点だけでなく良かった行動にも活用する
SBI型フィードバックは、注意や改善を求める場面だけでなく、良かった行動を伝える際にも活用できます。
成果につながった行動を具体的に伝えることで、相手は自分の強みや今後も続けたい行動を把握できます。
良い点と改善点の両方を伝えることで、より成長につながるフィードバックになります。
まとめ
SBI型フィードバックは、「Situation(状況)」「Behavior(行動)」「Impact(影響)」の3つの要素を使い、相手の行動を具体的に伝える方法です。
評価や印象だけで伝えるのではなく、実際に起きた出来事とその影響を整理することで、相手も内容を受け止めやすくなります。
また、SBI型フィードバックでは、改善点だけでなく良かった行動を伝えることも大切です。
「何が良かったのか」「何を変えるとよいのか」を具体的に共有することで、相手は次の行動を考えやすくなります。
フィードバックを行う際は、人格ではなく行動に目を向け、相手と認識をすり合わせながら伝えることが重要です。
SBI型を活用して、指摘だけで終わらない、成長につながるコミュニケーションを目指しましょう。