目次
はじめに
「ペースメーカーにはどんな種類があるの?」
「右室ペーシング・ヒス束ペーシング・左脚ペーシングは、何が違うの?」と疑問に感じていませんか。
医師からペースメーカー治療について説明を受けたとき、聞き慣れない方法の名前がいくつも出てくると、自分にはどの方法が関係するのか分からず不安になることもありますよね。
この記事では、右室ペーシング・ヒス束ペーシング・左脚ペーシングの仕組みや特徴、それぞれの違いを整理します。
ペースメーカーの種類は3つの刺激方法で特徴が異なる
ペースメーカーは、心臓のどの場所に電気刺激を与えるかによって方法が分かれ、それぞれ心臓への刺激の伝わり方に違いがあります。
ここでは、ペースメーカーの刺激方法による分類を確認したうえで、3つの方法の違いを理解するためのポイントを説明します。
ペースメーカーには刺激する場所によって複数の方法がある
ペースメーカーには、電気刺激を与える場所によっていくつかの方法があります。
右室ペーシングは右心室、ヒス束ペーシングは電気信号の通り道であるヒス束、左脚ペーシングは左心室側へ信号を伝える左脚を刺激する方法です。
それぞれ刺激する場所が異なるため、心室へ電気刺激が伝わる経路にも違いがあります。
右室ペーシング・ヒス束ペーシング・左脚ペーシングの違いを理解するポイント
3つの方法は、電極を置く場所と電気刺激の伝わり方に注目すると理解しやすくなります。
右室ペーシングは右心室から刺激を伝えるのに対し、ヒス束ペーシングと左脚ペーシングは、心臓にもともとある刺激伝導系を利用する方法です。
ヒス束を刺激するか、さらに左心室側にある左脚を刺激するかという違いがあります。
右室ペーシングとは?
右室ペーシングは、心臓の右心室に電極を留置し、電気刺激によって心室の収縮を促す方法です。
ここでは、右室ペーシングの基本的な仕組みを確認したうえで、メリットと注意点について説明します。
右室ペーシングは心室を直接刺激する一般的な方法
右室ペーシングは、右心室に電極を留置し、電気刺激によって心室を収縮させる方法です。
刺激は右心室から周囲の心筋へ広がり、心室全体の拍動につながります。
従来から広く用いられている、代表的なペーシング方法の一つです。
右室ペーシングのメリットと注意点
右室ペーシングは、心室を直接刺激でき、安定したペーシングを行いやすい点が特徴です。
一方で、心臓本来の刺激伝導系とは電気刺激の伝わり方が異なるため、左右の心室の収縮にずれが生じることがあります。
ペーシングの割合が高い状態が長く続く場合には、一部の患者で心機能に影響する可能性があります。
ヒス束ペーシングとは?
ヒス束ペーシングは、心臓にもともと備わっている電気刺激の通り道である「ヒス束」を刺激し、本来の電気伝導を利用して心室を収縮させる方法です。
ここでは、ヒス束ペーシングの仕組みを確認したうえで、この方法が選択される理由について説明します。
ヒス束ペーシングは本来の刺激経路を利用する方法
ヒス束ペーシングは、心房から心室へ電気信号を伝える「ヒス束」を刺激する方法です。
ヒス束に刺激を与えると、その先にある右脚や左脚を通って左右の心室へ電気信号が伝わります。
心臓にもともと備わっている刺激伝導系を利用する点が特徴です。
ヒス束ペーシングが選択される理由
ヒス束ペーシングは、左右の心室をできるだけ自然なタイミングで収縮させることを目的に選択されます。
右室ペーシングでは左右の心室の収縮にずれが生じる場合がありますが、ヒス束から刺激を伝えることで、そのずれを抑えることが期待できます。
左脚ペーシングとは?
左脚ペーシングは、心臓の電気刺激を伝える経路である左脚やその周辺を刺激し、本来の電気伝導を利用して心室を収縮させることを目指す方法です。
ここでは、左脚ペーシングの基本的な仕組みを確認したうえで、この方法の特徴と期待される効果について説明します。
左脚ペーシングは左脚付近を刺激して自然な収縮を目指す方法
左脚ペーシングは、心室中隔の深い位置に電極を留置し、左脚やその周辺に電気刺激を与える方法です。
心臓にもともと備わっている刺激伝導系を利用して左心室へ電気信号を伝え、自然な電気伝導に近い心室収縮を目指します。
左脚ペーシングの特徴と期待される効果
左脚ペーシングは、左脚付近から刺激伝導系を通して心室へ電気信号を伝えられる点が特徴です。
左右の心室が収縮するタイミングのずれを抑え、心臓をより自然な状態に近い形で収縮させる効果が期待されています。
右室ペーシング・ヒス束ペーシング・左脚ペーシングの違いを比較【刺激場所・特徴・選択理由】
| 比較項目 | 右室ペーシング | ヒス束ペーシング | 左脚ペーシング |
|---|---|---|---|
| 刺激する場所 | 右心室 | ヒス束 | 左脚やその周辺 |
| 電気刺激の伝わり方 | 右心室の心筋から広がる | ヒス束から右脚・左脚へ伝わる | 左脚付近から刺激伝導系を介して伝わる |
| 心室収縮の特徴 | 左右の収縮にずれが生じる場合がある | 本来の電気伝導に近い収縮を目指す | 自然な電気伝導に近い収縮を目指す |
| 主な特徴 | 従来から広く用いられている | 本来の刺激伝導系を利用する | 左脚付近を刺激伝導に利用する |
| 選択時のポイント | 心機能やペーシングの必要性など | ヒス束を適切に刺激できるかなど | 電極を安定して留置できるかなど |
右室ペーシング・ヒス束ペーシング・左脚ペーシングは、いずれも心臓に電気刺激を与える方法ですが、刺激する場所や心室への電気の伝わり方が異なります。
ここでは、3つのペーシング方法について、刺激する場所、心室への影響や特徴、選択する際の判断ポイントに分けて比較します。
刺激する場所はどこが違うのか
右室ペーシングは右心室の心筋、ヒス束ペーシングは心房から心室へ電気信号を伝えるヒス束を刺激します。
一方、左脚ペーシングは心室中隔の深い位置に電極を留置し、左心室側へ電気信号を伝える左脚やその周辺を刺激する方法です。
心室への影響や特徴はどのように異なるのか
右室ペーシングは右心室から刺激が広がるため、左右の心室の収縮にずれが生じる場合があります。
一方、ヒス束ペーシングや左脚ペーシングは心臓の刺激伝導系を利用することで、より自然な電気伝導に近い心室収縮を目指す方法です。
どの方法が選ばれるかは何で決まるのか
ペーシング方法は、刺激伝導障害の位置や心機能、ペーシングが必要になる頻度などを確認して選択します。
さらに、適切な場所を刺激できるか、電極を安定して留置できるかなども考慮し、患者ごとの心臓の状態に合わせて判断されます。
ペースメーカーの種類は心臓の状態や目的に合わせて選ばれる
ペースメーカーの刺激方法にはそれぞれ異なる特徴があり、新しい方法だからといって、すべての患者に適しているとは限りません。
ここでは、新しいペーシング方法が必ずしも優れているとはいえない理由と、患者の状態に応じて方法が選ばれる考え方について説明します。
新しいペーシング方法ほど優れているとは限らない
ヒス束ペーシングや左脚ペーシングは心臓本来の刺激伝導系を利用する方法ですが、新しい方法だからという理由だけで選ばれるわけではありません。
刺激伝導障害の位置や電極を留置できる場所などによって適した方法は異なるため、安定してペーシングできるかを考えて選択します。
患者ごとの状態に応じて適した方法が判断される
ペーシング方法は、刺激伝導障害の位置や心機能、ペーシングが必要になる頻度、治療の目的などを確認して判断します。
こうした条件に加えて電極を安定して留置できるかなども考慮し、患者ごとの状態に合った方法が検討されます。
まとめ
ペースメーカーには、右室ペーシング・ヒス束ペーシング・左脚ペーシングなどがあり、刺激する場所や電気信号の伝わり方に違いがあります。
どの方法が適しているかは、心臓の状態や刺激伝導障害の位置、治療の目的などによって異なります。
新しい方法が必ずしも適しているとは限らないため、それぞれの特徴を理解し、気になることは担当医に確認しながら治療を検討しましょう。