目次
プロジェクトマネジメントをゲームで学ぶ理由
体験から学ぶプロジェクトマネジメント
プロジェクトマネジメント(PM)は、本や講座で学ぶだけでは、なかなか本質を理解しにくい分野です。プロジェクトは計画通りに進まなかったり、思いがけない問題が発生したりすることがよくあります。そうした現実の難しさを体験せずに理論だけ学んでも、実際に直面したときに役立つ感覚や判断力が身につきにくいのです。
そこで最近注目されているのが、「ビジネスゲーム」と呼ばれる学習方法です。これは、実際のビジネスシーンを模したゲームを通じて、楽しみながらPMの要素を身につけることができます。参加者はチームメンバーやリーダー役になりきり、計画を立てたり、他のチームと交渉したり、突発的なトラブルに対応したりします。現場の雰囲気や忙しさを短時間で体感できるため、深い学びを得やすいのが特徴です。
ゲーム学習ならではの利点
ゲームの一番の強みは、「安全に失敗できる」という点です。実際の業務でミスをすると会社やお客様に迷惑がかかりますが、ゲームなら自由にチャレンジができ、「失敗から学ぶ」ことが気軽にできます。また、複数人で話し合いながら行うため、個人では気づきにくい多様な視点を知ることもできます。こうした体験は、本を読むだけでは得られないものです。
PM領域とゲーム選びのポイント
プロジェクトマネジメントは、計画づくり、リスクへの備え、チームワーク、コミュニケーションなど多くの要素を持っています。これを全て1つのゲームで体験するのは難しいため、自分や参加者が身につけたいスキルや気づきに合ったゲームを選ぶことが大切です。プロジェクト管理の知識体系であるPMBOKも、さまざまな知識が組み合わさってできています。したがって、いくつかのゲームを使い分けることで、よりバランスよくPMスキルを伸ばすことが可能です。
次の章では、ビジネスゲームの中でも特に人気の高い「The プロジェクトマネジメント(カード型ビジネスゲーム)」をご紹介します。
おすすめ1:The プロジェクトマネジメント(カード型ビジネスゲーム)
ゲームの特徴と進め方
『The プロジェクトマネジメント』は、カードを使って会社経営の疑似体験ができるビジネスゲームです。プレイヤーは数人のチームとなり、会社の限られた「時間」「資金」「人材」といったリソースをテーマごとに配分しながら、タスクを細かく分解してプロジェクトを進めます。実際の現場さながらに、進捗ごとに発生する "マイルストーン" を設定し、計画的にゴールを目指せるのが特徴です。
カードにはプロジェクトを進めるためのタスクやイベント、予期せぬトラブルなどが含まれています。例えば、「新たなクライアントの要望が追加された」「チームメンバーが体調不良で抜ける」といった現実に近い事象もランダムで発生します。これによって、計画どおりにいかないプロジェクトのリアルさと、「どう対応するか」を考える力が鍛えられます。
具体的な学びポイント
このゲームでは、タスクの「分解」や「スケジュールの調整」、「役割分担の明確化」など、実際のプロジェクト管理で求められる基本スキルを体験的に身につけられます。また、QCD(品質・コスト・納期)のバランスを取るため、たとえば「予算内に収めるためにどのタスクを優先するか」といった意思決定も迫られます。
さらに、イベントカードによる予期せぬトラブルや、他のチームとの交渉も発生するため、対外的なコミュニケーション力や状況変化に柔軟に対応する力(レジリエンス)も培われます。
どんな場面におすすめ?
このゲームは、新しくプロジェクトマネージャーやリーダーになった方の研修にぴったりです。全社的にプロジェクトマネジメント能力を底上げしたい時や、QCDに関する基礎教育の場にも有効です。実際に「話し合いながら進める」ため、机上の理論だけでなく、現場ですぐに役立つスキルを楽しく学ぶことができます。
次の章に記載するタイトル:おすすめ2:プロジェクトテーマパーク(ヌーラボ開発)
おすすめ2:プロジェクトテーマパーク(ヌーラボ開発)
プロジェクトテーマパークとは?
「プロジェクトテーマパーク」は、ヌーラボが開発した体験型のプロジェクトマネジメント研修ゲームです。実際のプロジェクト現場に近い設定で進行し、参加者が役割分担しながらプロジェクトを成功に導くことを目的としています。一般的な講義型研修と異なり、楽しみながら実務に近い意思決定を体験できることが特徴です。
どんなことを体験できる?
このゲームでは、プロジェクトの最初に“テーマパーク”を計画・運営するという状況をシミュレーションします。各チームは、限られた予算や人員を使い、スコープ(やるべきこととその範囲)を定めます。また、計画の途中でスケジュール調整が必要になったり、思わぬリスクへの対応が求められる場面も。例えば、予定外のトラブルが発生した場合、リスク管理の観点からどのように意思決定するかをチームで話し合います。実際のプロジェクトでありがちな“想定外”を疑似体験できるため、現場感覚が身につきやすいのがポイントです。
IT業界での活用事例
IT企業や開発チームの研修で広く活用されています。例えば、管理職への昇進やプロジェクトマネージャー(PM)候補の育成プログラムの中で、「プロジェクトテーマパーク」を使った事例があります。チームメンバー同士が合意形成する練習や、スケジュール・予算のやりくりを体験し、現実に即した判断力を身につけます。また、IT業務に馴染みのない新入社員でも、ルールがシンプルなので気軽に参加できる点も魅力です。
こんな人・場面におすすめ
プロジェクトテーマパークは、管理職やPMを目指す方だけでなく、開発部門で働くすべての方におすすめです。体験を通じて、プロジェクトの全体感や難しさ、そしてチームワークの大切さを実感できます。特に、新しいチームを結成する時や、業務の役割分担を明確にしたい場面にも効果的です。
次の章に記載するタイトル:おすすめ3:アジャイル vs ウォーターフォール体験ゲーム(進行役主導ワーク)
おすすめ3:アジャイル vs ウォーターフォール体験ゲーム(進行役主導ワーク)
ゲームの特徴と進め方
この体験ゲームは、プロジェクトの進め方としてよく取り上げられる「アジャイル」と「ウォーターフォール」の2つの手法の違いを実感できる内容です。3人1組のチームを作り、それぞれプロジェクトマネージャー/プロダクトオーナー役、エンジニア役、テスト役を担当します。進行役(ファシリテーター)は“顧客”として、各チームにプロジェクトの要件(やるべきこと)を伝えます。
たとえば実際には、進行役が「この形のオブジェクトを作ってください」と要望を出したり、途中で指示の内容を変更したりします。エンジニアはポストイットや紙で形を作り、テスト役がそれをチェックします。この過程で、チームごとにアジャイル型(小さなサイクルで作って戻してを繰り返す)か、ウォーターフォール型(一括でまとめて作る)を選んで進めます。2チームで同時に進行した場合、それぞれの進捗や課題点、顧客からのフィードバック対応などを比べて観察できます。
体験を通じて得られる気づき
このゲームは、単に手法の手順をなぞるだけでなく、以下の点について深く体験できます。
要件が途中で変わるとき、アジャイル型のチームがいち早く対応できること
- ウォーターフォール型では、初期の要件をしっかり詰めないと途中変更に弱いこと
- 各メンバーの役割が明確なほど、タスクがスムーズに流れること
- 短いサイクルでフィードバックを受けることの重要性
- どちらの手法にも一長一短があること
たとえば、アジャイル型だと細かな修正が得意ですが、全体方針がブレやすい場面もあると分かります。ウォーターフォール型だと計画が大事だという意識が強くなりますが、途中の方向転換が難しいことも身をもって感じられます。
どんな場面に向いているか
このゲームは特に以下のようなケースにおすすめです。
- アジャイル手法をこれから導入するチームの初学者研修
- 既存の現場チームで手法の違いを「体感」したいとき
- 若手メンバーに選択の根拠やリスクを伝える研修
体験を共有したあとで、ふり返りタイムを設け、どんな場面でどちらを選ぶべきか、役割やコミュニケーションの意味、プロジェクト成功への工夫について意見交換するのも効果的です。
次の章に記載するタイトル:PM基礎の整理:ゲーム学習と結びつける視点
PM基礎の整理:ゲーム学習と結びつける視点
プロジェクトマネジメント(PM)の基礎を整理し、それがどうゲームを通じて学べるかについて考えてみましょう。PMとは、プロジェクトの成功に向けて計画を立てたり、日程を決めたり、進捗を管理したりする一連の活動のことです。具体的には、企画やリスクの洗い出し、必要な資源やコストの見積もり、成果物の分解と整理、調達・運用計画、チームの組織化と役割分担、成果の評価などが含まれます。
このPM活動を、ゲームでどのように体験し学ぶことができるのかを主要な観点ごとに整理します。
スコープ・WBS(何を、いつ、誰が)
ゲームでは、プロジェクトで達成すべき範囲(スコープ)が明確になっていることが多いです。誰が・いつまでに・何を担当するかを考えるシーンは、実際の案件でも必須です。たとえば、ゲーム内でタスクカードを割り振る行為は、現実の作業分解(WBS:Work Breakdown Structure)とよく似ています。
スケジュール・進捗管理(マイルストーン)
プロジェクトには目標達成までの道のりがあります。ゲームでは複数のステージをクリアしたり、期間内に目標値を達成したりするミッションがあります。これは現実のプロジェクトで重要なマイルストーンの考え方に直結します。進捗を記録し、遅れやトラブルの兆しをキャッチする力も、ゲームのプレイ経験が役立ちます。
QCD/リソース配分(資源・コストの見積りと消費)
QCDとは、品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)の頭文字です。限られた時間と予算、人材や資材などの制約がある中で、どこにどの資源を配分するかの判断が重要です。ゲームでも、ポイントやカード、予算の上限を意識しながら計画的に使う必要があります。
リスク/変更対応(予期せぬ事象、要件変更)
プロジェクトは必ずしも予定通りには進みません。ゲーム内でも、思いもよらないトラブルや新たな条件が発生することがあります。そうした場面で、どう切り抜けるかを体験すること自体がPMの良い訓練になります。
ステークホルダー・交渉(社外巻き込み、顧客コミュニケーション)
関係者との情報共有や調整もPMでは避けて通れません。ゲームの中には、他プレイヤーとの交渉や協力が不可欠な場面が多くあります。こうした体験を通じて、コミュニケーションや折衝力も養うことができます。
このように、ゲームでの学びをPMの観点ごとに結びつけて理解することで、より実践的なスキルアップが期待できます。
次の章では、ゲーム理論がプロジェクトの判断にどう役立つかについてご紹介します。
思考を深める:ゲーム理論をPM判断に活かす
ゲーム理論とは何か
ゲーム理論は、複数の関係者が互いの行動を意識しながら意思決定する仕組みを分析する考え方です。難しい理論に聞こえますが、日常の選択や友人との約束にも応用できます。よく知られている例が「囚人のジレンマ」です。これは、協力した方が全体にとって良い結果になると分かっていても、お互いに自分の利益を優先するとむしろ損をしてしまう、という状況です。
プロジェクトマネジメントでの応用
実際にプロジェクトを進める際にも、関係者同士で利害がぶつかることがよくあります。例えば、リリース直前に営業部門から「この機能を追加してほしい」と頼まれた場合を想像してください。一見よさそうな提案でも、開発側にとっては急な追加作業が遅延や品質低下につながる恐れがあります。ここで「追加を受けるかどうか」の判断は、相手の出方や全体への影響を考えながらの重要な意思決定になります。この時、ゲーム理論を使うことで、自分と相手の選択肢・メリット・リスクを冷静に整理できます。
ゲーム学習と結びつけて考える
前章では、実際のプロジェクトゲームを通じて、リアルな状況下での意思決定を体感する大切さを説明しました。ゲーム理論を学んでおくと、ゲームの振り返りで「なぜ自分はあの時その選択をしたのか」「別の人ならどう判断したか」と思考を深めるヒントになります。また、参加者皆で「こうすればもっと全体利益が上がったかもしれない」と話し合うきっかけにもなります。
ゲーム理論を活かすポイント
- 協力だけが正解ではなく、時に競争や妥協も必要なことを理解する
- 利害関係者がどう動くかを立場ごとに想像し直してみる
- 事例や実際のゲーム体験を元に、「もし自分が〇〇だったら」を意識して考え直す
次は、実施設計のコツ(ファシリテーションの要点)についてご説明します。
実施設計のコツ(ファシリテーションの要点)
ゲーム型のプロジェクトマネジメント学習を成功させるには、実施設計がとても重要です。この章では、ファシリテーターとして押さえておきたいポイントや準備のコツを具体的に解説します。
目的適合の設計
まず、達成したい学習目標に合わせてゲームを選ぶことが大切です。
- スコープやリスク管理重視の場合は、「プロジェクトテーマパーク」を組み込みましょう。メンバー同士が突然のイベントや優先変更に柔軟に対応する経験が得られます。
- QCD(品質・コスト・納期)のバランスやWBS、交渉力強化を目指すなら、「The PM」がおすすめです。各自が意思決定を迫られる場面が多く、交渉や調整の実感を得られます。
- 開発手法の比較なら、「アジャイルvsウォーターフォール体験ゲーム」を使い、進め方の違い・メリットとデメリットが体験できます。
チーム編成と役割分担
参加者は小グループ(3〜5人)に分け、全員が役割を持つようにしましょう。例えば、プロジェクトマネージャー、顧客役、開発担当など役割を明確に割り当て、複数回のローテーションをはさむと、一人ひとりがさまざまな目線から学びを深められます。
計画策定と振り返り
開始時にはWBS(作業分解図)やマイルストーン(重要な節目)を作ってもらいます。進行中には、意図的に計画変更やトラブルイベントを挿入し、全員が変化への対応を考える機会としてください。最後は全員で振り返り(デブリーフ)を行い、「どの決定が品質・納期・コストやリスクにどう影響したのか」「アジャイルやウォーターフォールの動きにどんな違いが生まれたのか」を整理すると学びが深まります。
指標例と可視化
成果を測るために、具体的な評価指標を設けましょう。たとえば、
- 期日どおりに終えたか(納期遵守)
- 成品の完成度やミス数(品質指標)
- コストや労力の差額(コスト差異)
- 想定外トラブルへの対応回数や時間(リスク対応)
- 決定や合意形成の会話数(コミュニケーション回数)
を数値化し、結果を見せることで、参加者が自身の学びを実感できます。
次の章では、導入シナリオ別の選び方について詳しく解説します。
導入シナリオ別の選び方
プロジェクトマネジメントのゲーム型教材は、導入する状況や参加者の目的によって最適なものが異なります。ここでは、よくある3つのシナリオに分けて、どの教材を活用すべきか具体的にご紹介します。
新任PM・若手横断研修にぴったりな選択
新任のプロジェクトマネージャーや、職種横断で基礎力を高めたい若手社員には「The プロジェクトマネジメント」がおすすめです。カード形式のゲームで、プロジェクトを進めるための計画(WBS=作業分解図)や、時間・コスト・品質(QCD)のバランス、そして関係者との交渉を自然と体験できます。たとえば、複数のカードからどんな順番で進めるかをチームで話し合う中で、お互いの意見を聞いたり調整したりする力も身につきます。ゲームを通じて「プロジェクトってこうやって全体を見て考えるんだ」と実感できるのが特長です。
管理職向けPM強化にはどう選ぶか
管理職や、既に現場でプロジェクトを主導しているリーダー層には「プロジェクトテーマパーク」が適しています。このボードゲームは、プロジェクトの範囲(スコープ)、スケジュール、人員配置やリスクといった複数の要素を一度に判断する場面がたくさんあります。例えば、遊園地をより良くするために、どこに投資すべきか、どこでリスク回避策を取るべきか、現場での統合的な意思決定を疑似体験できます。実際のプロジェクトマネジメントに近い形で、「全体を俯瞰しリーダーシップを発揮する」視点が養えます。
現場の手法理解に最適なケース
開発現場やIT、ものづくり分野などで、プロジェクト進行手法の違いを体感させたい場合は「アジャイル vs ウォーターフォール体験ゲーム」が役立ちます。たとえば、厳密な事前計画のもとで進めるウォーターフォール方式と、順次見直しをしながら柔軟に進めるアジャイル方式、この2つの違いを同じチームで体験できます。これにより「なぜこの手法を選ぶのか」「それぞれの手法の長所・短所は何か」を短時間で実感できます。現場での学習曲線が大きく縮まる効果が期待できます。
次の章に記載するタイトル: よくある疑問
よくある疑問
1つのゲームでプロジェクトマネジメント全体をカバーできるの?
多くの方が「この一つのゲームだけでプロジェクトマネジメントのすべてが学べるの?」と気になるかもしれません。プロジェクトマネジメントの範囲はとても広いです。計画の立て方、進捗管理、メンバーとのコミュニケーション、リスク管理など、多様な要素が含まれています。現実には、どれか1つのゲームで全部を網羅するのは難しいです。そのため、目的や身につけたい力によって複数のゲームや、書籍・講義などの座学をあわせて学ぶのが効果的です。
ビジネスゲームは仕事にも役立つの?
「ゲームで学んだことは、実際の現場に役立つの?」という疑問も多くあります。ビジネスゲームは、現実のプロジェクトの進め方を短い時間に凝縮して再現するためにデザインされています。例えば、計画の段取りを考えたり、メンバーとの交渉や調整、リソースの配分など、実際の業務でも必要になる行動をゲームの中で体験できます。そのため、ただの遊びではなく、現場で役立つ“考え方”や“対応力”を身につけるための良い機会となります。
他にもよくある質問
- ゲーム経験がない初心者でも大丈夫?
- 失敗した場合、どう活かせばいい?
- オンラインで参加できるものはある?
- 何人からでも実施できる?
これらの質問についても、「初心者向けのサポートが用意されている」「失敗を振り返るパートがある」「オンライン対応のゲームも登場している」「少人数〜大人数まで対応したゲームもある」など、状況に合わせたさまざまな工夫が進んでいます。
次に、実施までのチェックリストの章へと進みます。
実施までのチェックリスト
1. 目的の明確化
ゲーム型プロジェクトマネジメント学習を効果的に進めるためには、まず「何を強化したいか」を考えましょう。たとえば、「プロジェクトの範囲をしっかり定めたい」「変化に柔軟に対応する力をつけたい」「アジャイルとウォーターフォールの違いを実感したい」など、目的を具体的に定めることが重要です。目標が曖昧な場合、学びが散らばりやすいため、最初にチーム内で共有しましょう。
2. 参加者の事前知識レベルの把握
参加者のプロジェクトマネジメントへの理解度を確認しておくと、進行や説明がスムーズになります。PMBOK(プロジェクトマネジメント知識体系)の基本概念と、ゲーム学習で取り上げる項目(例:WBSの分解、コミュニケーションなど)との関係を伝えると、取り組みやすくなります。簡単なアンケートやヒアリングで事前調査すると安心です。
3. 役割分担と教材準備
当日慌てないため、役割や必要な教材を確認しましょう。主な役割には「進行役」「記録係」「タイムキーパー」などがあります。用意しておきたい教材は、カードや封筒、ポストイット、WBS用テンプレートなど、ゲームの進行に必要なものです。足りない材料が当日見つかると進行に影響するため、事前にリストアップしてチェックします。
4. 進行役の台本とイベント設計
進行役には、ゲームの流れをコントロールするための台本が不可欠です。「新たな要件変更が発生する場面」「突然の交渉シーン」「外部依存(例:他チームの成果待ち)のタイミング」など、イベントの設計を事前に考えておくと、参加者のリアルな判断や反応を引き出しやすくなります。想定問答やフォローアップの準備も忘れないようにしましょう。
5. デブリーフ設問の用意
ゲーム終了後の振り返り(デブリーフ)は、学びを定着させる大切な時間です。「納期・予算・品質(QCD)」の観点からの達成状況、「どうしてその判断をしたのか」「他にどんな選択肢があったか」「今回の学びをどこで活用できそうか」など、問いかけを用意しておきましょう。答えやすい質問から始め、徐々に深い気づきを促します。