第1章: はじめに
本資料の目的
本資料は、企業や組織で管理者を務める方々向けに、管理者講習の全体像をわかりやすく示すことを目的とします。講習の内容や受講による効果、日程・形式・料金、申し込み時の注意点まで順に説明します。
管理者講習の位置づけ
管理者講習はリーダーシップやマネジメントの基本を体系的に学ぶ場です。現場での意思決定や部下育成に直結する実践的なスキルを身につけられます。
読者対象
部課長やリーダー候補、新任管理者、人材育成を担当する方など、管理職に関わるすべての方を想定しています。
本資料の使い方
各章で講習の目的・内容・形式・効果・申し込み方法を順に解説します。まずは全体を俯瞰してから、該当する章を詳しくお読みください。
管理者講習とは
概要
管理者講習とは、企業や組織で管理職やリーダーとして働く人が、必要な知識・スキル・マインドを体系的に学ぶ研修です。現場で直面する課題に対応する力を育て、組織の成果を安定して出せるようにすることを目的とします。
目的
主な目的は、業績向上・部下育成・組織力強化という「管理者の三大役割」を果たせるようになることです。具体的には、目標設定や進捗管理、部下への指導・フィードバック、部署間の調整などにおける実践力を高めます。
管理者の三大役割
- 業績向上:目標を設定し、結果に責任を持つ力。例)KPI設定や改善策の実行。
- 部下育成:部下の能力を引き出す力。例)コーチングや評価面談の進め方。
- 組織力強化:風土や仕組みを整える力。例)会議の運営や業務プロセスの見直し。
現場で求められる力(具体例付き)
- 課題解決力:原因を見つけ、実行計画を立てて改善する。
- 目標達成力:期限と成果を合わせるための計画と調整。
- コミュニケーション力:分かりやすく伝え、意見を集める。例)1on1や朝会の活用。
- 意思決定力:情報を整理して迅速に判断する。
受講のメリット
受講すると、管理者としての判断が早くなり、部下の成長を促せます。さらに、組織のムダを減らして業績改善につなげやすくなります。短期的なスキル習得だけでなく、日常の行動が変わる点が大きな利点です。
管理者講習の主なプログラム内容
管理者の役割理解
管理者に求められる役割を明確にします。経営目標との整合、チームの成果責任、プレイヤーからマネジャーへの意識転換を扱います。具体例としては、個人の作業から「チームの成果を上げるための仕組み作り」へ視点を移す演習を行います。
業績向上のマネジメント
目標設定(KPIや優先順位)、PDCAサイクルの実践、進捗管理と問題解決手法を学びます。週次の進捗会議や、5回問う(5 Why)などの簡潔な手法を用いて原因を掘り下げ、改善策を立てる演習を行います。
部下育成のマネジメント
OJTの進め方、仕事の割り当て方、目標管理(SMART形式)を扱います。人事考課の仕組みや面接演習も含み、フィードバックの与え方や育成プランの作成をロールプレイで練習します。
組織力強化
職場の風土づくりや心理的安全性の確保、部門横断の調整方法を学びます。情報共有の仕組みや定例ミーティングの設計、視覚化(カンバン等)による業務見える化の例を紹介します。
リーダーシップと変革推進
変革のプロセス(現状認識→設計→実行→定着)と、リーダーシップを発揮するポイントを扱います。短期的な「早期成功例」を作る方法や利害関係者の巻き込み方をワークで体得します。
代表的な研修日程・形式・料金
概要
管理者講習は短期から中期まで幅があります。1日完結の講座から数日間の集中研修、あるいはオンラインで分割して学ぶ形式まで、多様な提供方法があります。職場の状況に合わせて選べます。
研修の形式
- 集合研修:講師と参加者が会場で対面する伝統的な形式です。実習やグループワークが行いやすい利点があります。
- オンライン研修:自宅や職場で受講できます。ライブ配信やオンデマンドでの配信が一般的です。移動時間を節約できます。
- ハイブリッド:集合とオンラインを組み合わせます。対面での演習とオンラインでの座学を両立できます。
代表的な日程の例
- 管理者基礎研修(オンライン):3日間、各日9:00~17:00(合計学習時間は機関によって異なります)。
- 中小企業大学校の例:
- 新任管理者研修:4日間(計27時間)、受講料39,000円
- 中堅管理者研修:3~4日間(計21~27時間)、受講料32,000円~39,000円
- チームマネジメント力強化講座:2日間(計14時間)、受講料22,000円
料金の目安と注意点
- 料金は内容、講師、開催場所で変わります。目安として数万円~数十万円まで幅があります。
- 参加費に会場費や教材費が含まれるか確認してください。交通費や宿泊費は別途になることが多いです。
- 団体割引や早期割引、企業派遣の補助がある場合もあります。キャンセル規定や振替の有無も事前に確認しましょう。
管理者講習の受講対象と効果
受講対象
- 新任管理者:直属の部下を初めて持った方。役割や日常業務の進め方を学ぶ必要があります。
- 中堅管理者:チーム運営や部門間調整を任される方。リーダーシップや意思決定力を磨く段階です。
- 次世代リーダー候補:将来の幹部を目指す若手や、プロジェクトリーダーを期待される人材。
期待される効果
- 役割認識と意識改革:管理者としての責任や視点が明確になります。例:個人視点からチーム視点への切替えができるようになります。
- マネジメントスキル向上:目標設定、進捗管理、業務の割振り、評価フィードバックなどの実務力が上がります。具体例としては、部下との1対1面談を定例化できるようになります。
- リーダーシップの強化:意思決定や方向付け、モチベーションの喚起が得意になります。
- 組織目標達成への貢献:チームの成果が改善し、プロジェクトの納期遵守や品質向上に結び付きます。
- 部下育成と職場活性化:育成計画の作成やOJTの実践で後進が育ち、職場のコミュニケーションが活発になります。
効果を測る指標とフォローの例
- 指標例:離職率、目標達成率、残業時間、社員満足度スコア
- フォロー例:研修後のコーチング、実務課題の振り返り、ピアレビューの定期実施
これらの対象と効果を意識して受講すると、学びが現場で定着しやすくなります。
特定分野の管理者講習
安全運転管理者講習
自動車や運送業の事業者が受ける法定講習です。道路交通法や社内の安全ルール、事故防止のための行動指針を学びます。具体例としては、長距離運転時の疲労対策や点呼の実施方法、ドライブレコーダーの活用法などが扱われます。対象は運行管理者や安全担当者で、事故削減や法令遵守に直結します。
衛生管理者講習
労働安全衛生法に基づく講習で、職場の衛生管理や労働者の健康保持がテーマです。衛生管理者資格の取得や更新が目的で、衛生委員会の運営、作業環境測定、メンタルヘルス対策などを学びます。例えば、工場での有害物質管理や休憩・作業間隔の改善策が具体例です。対象は事業所の衛生責任者や人事担当者です。
その他の分野(建設・医療・ITなど)
建設現場では安全管理者講習、医療・介護では感染対策やリスク管理の研修、IT分野では情報セキュリティ管理者向け講習が行われます。業界ごとの法令や現場特有のリスクに応じた内容になります。
選び方のポイント
自社の業種・規模・法的義務を確認し、講義と実技の比率や講師の実務経験を重視してください。研修後のフォロー(資料提供や相談窓口)があるかも確認すると効果が高まります。
申し込み方法・注意点
申し込み先
- 各種研修機関(民間の研修会社)
- 公共団体(中小企業大学校など)
- オンラインプラットフォーム
一般的な申し込み手順
- 日程・会場・受講料を確認
- 定員と締切を確認し、早めに予約
- 申し込みフォームに必要事項を入力(所属、連絡先、支払い方法など)
- 支払い(クレジットカード、振込、請求書対応など)
- 受講票や案内が届いたら当日まで保存
注意点
- 定員超過で早期締切になることが多い
- 受講料に昼食・教材費が含まれるか確認
- オンライン受講は通信環境をあらかじめ確認
- 企業負担での受講は事前承認を得る
キャンセル・変更
- キャンセル料や変更期限を事前に確認
- 体調不良などで代理受講が可能か確認
当日持ち物・証明書
- 身分証、受講票、筆記用具、ノートPC(オンラインならヘッドセット)
- 修了証の交付条件(出席率や試験)を確認
問い合わせ先
- 申込ページの問い合わせ先か主催者窓口に連絡
- 不明点は早めに確認しておくこと