リーダーシップとマネジメントスキル

経営者が知るべき研修の重要ポイントと選び方ガイド

はじめに

本調査の目的

本調査は、経営者や経営幹部が受ける研修プログラムの内容や特徴を分かりやすく整理することを目的としています。研修の対象者、期間、目的、想定される成果などをまとめ、導入を検討する際の判断材料を提供します。例えば、経営者が交代する際に必要なスキルや、幹部候補の育成計画づくりに役立ちます。

対象と範囲

対象は主に企業の経営者、役員、次世代の経営者候補です。調査では日本経営協会(JMA)、ビジネス教育機関、社会福祉法人向け研修、中小企業大学校、日本生産性本部など、代表的な提供機関の研修を取り上げます。各研修の目的や受講期間、参加要件を中心に比較します。

調査の方法

公開情報、パンフレット、提供機関の説明資料を基に整理しました。各研修の特徴を具体例で補足し、実務で使える視点を重視しています。たとえば、短期集中のセミナーと長期の育成プログラムの違いを実務上の選び方で示します。

本書の読み方

各章は研修機関ごとに分け、目的・対象・期間・成果イメージを説明します。導入検討の際は、自社の課題や人材育成方針と照らし合わせて参考にしてください。

JMA(日本経営協会)による次世代経営層育成研修

目的と特徴

JMAは上場企業の次世代経営幹部を想定し、経営視点と実務力の両方を育てます。ケース学習や実践ワークで自社課題に適用できる力を養います。

主なコースと対象

  • エグゼクティブ・マネジメントコース(EMC): 取締役候補や経営幹部向け。戦略、財務、組織運営を深掘りします。
  • エグゼクティブ・ビジネスリーダー(EBL): 事業責任者向け。事業戦略と実行力を磨きます。
  • プロフェッショナル・ビジネスリーダー(PBL): 若手経営層候補の実務型コース。短期集中で成果創出を狙います。
  • リベラルアーツ、戦略人事プロフェッショナル、生産・開発マネジメント: 視野拡大や専門領域の強化に特化します。

学びの方法と期間

講義、ケース、グループ討議、現場課題のアクションプラン作成を組み合わせます。期間は数日〜数カ月のプログラムが中心です。

受講のメリット

経営視点の習得、同業他社を含むネットワーク形成、学んだ内容の現場適用が期待できます。

検討時のポイント

会社の支援体制、選抜基準、実務への落とし込み方法を事前に確認してください。

ビジネス教育提供機関のセミナー・研修

概要

複数の教育機関が年間で3,000件を超えるセミナーを提供しています。経営者・役員向けは、法的義務・責任、リーダーシップ、会計・財務、経営戦略、人材マネジメントなど実務に直結するテーマが中心です。実践的な演習を通じて即戦力化を図ります。

主なテーマとねらい

  • 法的義務・責任:取締役の責務やコンプライアンス対応をケースで学びます。\
  • リーダーシップ:対話型ワークで意思決定力や対人スキルを高めます。\
  • 会計・財務:キャッシュフロー管理や投資判断を実務例で理解します。\
  • 経営戦略・人材:戦略立案や後継者育成の実践手法を扱います。

代表的なコース

  • MBA経営実務コース:経営理論と実務を結び付ける構成で、経営判断の精度を上げます。\
  • 新任取締役・執行役員セミナー:役割理解とガバナンス実務を短期集中で学べます。

形式と学びの定着

講義に加え、ケーススタディ、ロールプレイ、グループ討議、個別コーチングを組み合わせます。受講後は行動計画の作成やフォローアップ研修で現場への定着を図ります。

選び方のポイント

自社の課題と参加者の経験レベルに合ったコースを選んでください。事前課題や具体的なアウトプットがある講座は実践への移行が早くなります。

社会福祉法人経営者向け研修

概要

社会福祉法人経営者研修会(経営管理コース)は厚生労働省委託の講座です。制度動向、業務改善、財務管理を中心に、講義と演習を組み合わせて学びます。実務に直結する内容で、現場で使える知識を習得できます。

対象者

社会福祉法人の理事・役員、法人の経営に関わる職員が主な対象です。法人の規模や担当業務にかかわらず、経営管理の基礎と応用を学びたい方に向きます。

主な学習内容

  • 制度動向:制度改正のポイントと対応の考え方
  • 業務改善:業務フローの見直しや効率化の具体例
  • 財務管理:予算作成、資金繰り、決算のポイント
    講義の後にケースワークやグループ演習を行い、実践力を高めます。

開催・費用

受講料は29,700円です。開催期間は令和7年3月28日~3月30日で、集中して学べます。

参加の効果と準備

参加後は制度対応力や業務改善の着手点、財務の見方が明確になります。事前に自法人の課題(経営課題や直近の決算書)を整理すると演習がより有意義です。

申し込み・留意点

定員や申込方法は主催者の案内に従ってください。研修は講義と演習が混在しますので、積極的な参加姿勢が成果に直結します。

中小企業大学校の経営トップ研修

概要

中小企業大学校は、経営トップ向けに最新の経営手法や自社分析、多面的な課題解決を支援する研修を実施します。期間は2025年8月19日〜2026年2月18日の全14日(計84時間)で、受講料は130,000円です。

対象

代表者・取締役・経営幹部など、経営の最終判断に関わる方を主な対象とします。事業承継を控えた後継者にも適しています。

目的・到達目標

参加者が自社の強み・弱みを明確にし、具体的な経営計画を策定できるようにします。財務の読み方や人材育成、販売戦略の実行計画まで落とし込みます。

主なカリキュラム例

  • 経営戦略の立て方(市場分析と差別化)
  • 財務・資金繰りの実務(決算書の活用、資金計画)
  • 人材育成と組織作り(評価制度や育成計画)
  • 生産性向上・業務改善(現場での改善事例)
  • ワークショップ(自社課題のグループ討議と発表)

受講のポイント

実務に直結する演習が多く、講師と参加者の意見交換を通して自社計画をブラッシュアップできます。受講後は具体的な行動計画を持ち帰れる点が魅力です。

日本生産性本部による経営者・役員研修

日本生産性本部の役割

日本生産性本部は、企業の生産性向上を支援する組織です。経営者や役員向けにも、組織運営や意思決定に直結する実践的な研修を提供します。企業の課題に応じた提案型の支援が特徴です。

プログラムの特徴

  • 階層別・テーマ別に分かれ、経営層向けは視座を高める内容が中心です。
  • 実務で使えるフレームや事例研究を多く取り入れます。
  • 外部講師と現役経営者による講演や討議を組み合わせ、学びを現場に結び付けます。

主な研修テーマ(具体例)

  • 中長期経営計画の立て方:戦略の描き方と実行の仕組みづくりを学びます。
  • ガバナンスとリスク管理:取締役会の機能強化や危機対応の訓練です。
  • 組織変革と人材育成:現場と経営をつなぐリーダーシップを実践で磨きます。

実施形式と期間

公開講座、企業内研修、短期集中型や連続講座があります。1日〜数日型が多いですが、半年程度のフォロー付きプログラムもあります。eラーニングやワークショップを組み合わせることも可能です。

参加のメリットと導入のポイント

研修により視点が広がり、意思決定の質が向上します。導入時は事前診断で課題を明確にし、受講後の社内フォロー(目標設定や評価)を設けると効果が高まります。受講者は実務責任者や次期経営者候補を中心に選ぶと良いでしょう。

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