目次
はじめに
「マネジメントレビュー報告書はどのように作成すればよいの?」
「実際にはどのような内容を記載するの?」と気になっていませんか。
品質マネジメントシステムを運用していると、「毎年マネジメントレビューを実施しているけれど報告書の書き方がわからない」「どこまで詳しく記載すればよいの?」「ISO審査で指摘されない報告書にするにはどうすればよいの?」と悩むことがありますよね。
この記事では、マネジメントレビュー報告書の基本的な書き方をはじめ、そのまま参考にしやすい記載例、記載項目ごとのポイント、作成時に押さえておきたい注意点まで順を追ってわかりやすく説明していきます。
マネジメントレビュー報告書とは?

マネジメントレビュー報告書は、経営層や管理責任者が品質マネジメントシステムの運用状況を確認し、今後の改善方針や対応事項を判断した内容を記録するための文書です。
ここでは、マネジメントレビュー報告書の目的や議事録との違い、ISOで作成が求められる理由について順番に解説します。
マネジメントレビュー報告書の目的
マネジメントレビュー報告書の目的は、経営者が品質マネジメントシステムの運用状況を確認し、今の運用を続けるのか、それとも改善が必要なのかを判断した内容を記録として残すことです。
例えば、内部監査の結果や顧客クレームの件数、目標の達成状況、是正処置の進み具合などを確認し、その結果をもとに改善の指示や必要な資源の投入を判断します。
判断した内容や根拠を報告書に残しておくことで、後から経緯を確認しやすくなるだけでなく、監査時にも経営者による見直しが適切に行われたことを示せます。
議事録との違い
議事録は、会議で誰が何を話し、どのような内容が話し合われたのかを記録する文書です。
一方、マネジメントレビュー報告書は、経営者が何を確認し、どのような判断や指示をしたのかを記録する文書です。
例えば、内部監査の結果や品質目標の達成状況について会議を行った場合、議事録には発言内容や検討の流れが記載されます。
これに対して、マネジメントレビュー報告書には「改善活動を進める」「教育予算を追加する」といった最終的な判断が記載されます。
そのため、議事録は会議の経過を残す記録、マネジメントレビュー報告書は経営者の意思決定を残す記録と考えると分かりやすいでしょう。
ISOで求められる理由
ISOでマネジメントレビューが求められているのは、品質マネジメントシステムが計画どおりに運用されているかを、経営者自身が定期的に確認する必要があるためです。
経営者は、内部監査の結果や顧客満足度、品質目標の達成状況、不適合や是正処置の進み具合などを確認し、その結果をもとに改善や資源配分について判断します。
マネジメントレビュー報告書には、こうした確認内容や判断結果を記録します。記録を残しておくことで、経営者が必要な情報を確認し、適切な見直しを行ったことを監査時にも示しやすくなります。
『ISOの要求事項をもう少し詳しく確認したい方は、マネジメントレビューで求められる内容をまとめたこちらの記事も参考にしてください。』
▶ISOマネジメントレビューとは?目的・実施内容・要求事項をわかりやすく解説
マネジメントレビュー報告書の例

マネジメントレビュー報告書は、決められた形式があるわけではありませんが、審査対応や社内共有を考えると、必要な項目を漏れなく記載できる構成にすることが重要です。
実際の作成時には、簡潔にまとめた記載例や改善処置まで記録した例を参考にすると、どのような内容を書けばよいかイメージしやすくなります。
ここでは、シンプルな記載例、改善処置を含む記載例、そのまま活用しやすいサンプル形式を紹介します。
シンプルな記載例
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 実施日 | 2026年6月10日 |
| 出席者 | 代表取締役、品質管理責任者 |
| 確認事項 | 内部監査結果、顧客クレーム件数、品質目標の達成状況 |
| 判断内容 | 品質目標が一部未達のため、改善活動を実施する |
| 指示事項 | 担当部署は改善計画を作成し、次回レビューで進捗を報告する |
マネジメントレビュー報告書は、難しい形式で作成する必要はありません。経営者が何を確認し、どのような判断を行ったのかが分かる内容であれば、シンプルな様式でも問題ありません。
特に、「確認事項」「判断内容」「指示事項」の3つを明確に記載しておくと、後から内容を確認しやすく、監査時の説明もしやすくなります。
改善処置を含む記載例
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 実施日 | 2026年6月10日 |
| 出席者 | 代表取締役、品質管理責任者 |
| 確認事項 | 顧客クレーム件数が前年より20%増加 |
| 判断内容 | クレーム増加の原因分析を実施し、再発防止策を講じる |
| 改善処置 | 問い合わせ対応手順を見直し、担当者向け教育を実施する |
| 担当者 | 品質管理責任者 |
| 完了予定日 | 2026年7月31日 |
改善処置を記載する場合は、「何を改善するのか」だけでなく、「誰が担当するのか」「いつまでに実施するのか」まで明確にしておくことが大切です。
具体的な内容を記録しておくことで、次回のマネジメントレビューで進捗を確認しやすくなり、改善活動を継続的に進めやすくなります。
そのまま使いやすいサンプル形式
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 実施日 | 2026年6月10日 |
| 出席者 | 代表取締役、品質管理責任者 |
| 確認事項 | 内部監査結果、顧客満足度、品質目標の達成状況 |
| 評価・分析 | 品質目標は一部未達。顧客クレームは前年より減少 |
| 判断内容 | 品質目標達成に向けて改善活動を継続する |
| 指示事項 | 教育を強化し、改善計画を作成する |
| 次回確認日 | 2026年12月10日 |
このように、マネジメントレビュー報告書は複雑な形式にする必要はありません。経営者が何を確認し、どのような判断をしたのかが分かるように整理されていれば十分です。
まずはシンプルな形式で作成し、必要に応じて確認項目や改善内容を追加していくと、実務でも使いやすい報告書になります。
マネジメントレビュー報告書に最低限必要な項目

マネジメントレビュー報告書を作成する際は、会議で話し合った内容を記録するだけではなく、ISOが求める確認事項や決定事項を漏れなく残す必要があります。
必要な項目を理解しておくことで、審査時の指摘を防ぎやすくなり、マネジメントレビューの結果も社内で共有しやすくなります。
ここでは、インプット項目とアウトプット項目の概要に加え、実際の報告書でよく記載される内容について解説します。
『内部監査の結果をどのようにレビューへ反映するのか気になる方は、内部監査の基本も確認しておくと理解しやすくなります。』
▶ISO内部監査とは?目的・実施手順・チェックポイントをわかりやすく解説
インプット項目
インプット項目には、経営者がマネジメントレビューで確認した情報を記載します。
具体的には、前回レビューで決めた改善事項の進捗、内部監査の結果、顧客クレームや顧客満足度、品質目標の達成状況、不適合や是正処置の状況などです。
これらの情報をもとに経営者が判断を行うため、「どの資料や実績を確認したのか」が分かるように、わかりやすく記録しておくことが大切です。
アウトプット項目
アウトプット項目には、インプット情報を確認したうえで、経営者がどのような判断や指示を行ったのかを記載します。
具体的には、品質マネジメントシステムの見直しの必要性、品質目標の変更、是正処置や改善活動の実施、設備投資や人員配置に関する決定などが該当します。
どのような結論に至ったのかを記録しておくことで、レビュー後に実施すべき対応内容を関係者全員で共有しやすくなります。
よく記載される内容
マネジメントレビュー報告書には、実施日や出席者、内部監査の結果、顧客クレーム件数、品質目標の達成状況などがよく記載されます。
また、前回レビューで決めた改善事項の進捗や、是正処置の実施結果をまとめることも一般的です。
あわせて、経営者の判断や改善指示、実施期限、担当部署なども記録しておくと、その後の対応を進めやすくなります。確認した内容だけでなく、「今後どうするのか」まで残しておくことが大切です。
マネジメントレビュー報告書の書き方

マネジメントレビュー報告書は、会議内容をそのまま書き写すのではなく、ISOで求められる情報や経営層の判断内容を整理して記録することが重要です。
必要な情報を事前にまとめておくことで作成時間を短縮でき、審査時にも内容を説明しやすくなります。
ここでは、作成前に整理しておきたい事項、報告書を簡潔にまとめるコツ、監査で確認されやすいポイントについて解説します。
作成前に整理すること
マネジメントレビュー報告書を作成する前に、内部監査の結果や顧客クレーム件数、品質目標の達成状況、前回レビューで決めた改善事項の進捗などを整理しておきましょう。
事前に必要な資料をまとめておくことで、経営者が判断した内容を報告書へ記載しやすくなります。
また、実施日や出席者、レビュー対象期間、改善案件の進捗状況も確認しておくと、レビュー後の記録をスムーズに作成できます。
簡潔にまとめるコツ
簡潔にまとめるためには、「確認した事実」「数値による結果」「経営者の判断」「今後の対応」の順で記載すると分かりやすくなります。
例えば、「顧客クレーム3件発生」「目標値5件以内を達成」「現行手順を継続する」といった形です。
会議中の細かなやり取りまで記載する必要はありません。最終的に確認した内容と決定事項に絞ってまとめることで、読みやすい報告書になります。
監査で見られやすいポイント
監査では、経営者が内部監査の結果や品質目標の達成状況などを実際に確認しているか、また、その内容に対してどのような判断を行ったのかがよく確認されます。
数値や結果だけを記載するのではなく、「継続する」「改善する」「見直す」といった判断まで記録しておくことが大切です。
確認した内容と経営者の決定事項が分かるようにまとめておくと、監査でも説明しやすくなります。
マネジメントレビュー報告書でよくある不足例

マネジメントレビュー報告書は作成していても、記載内容が不十分なために内部監査や審査で指摘を受けるケースがあります。
特に、判断に至った根拠が記録されていない場合や、改善内容が具体化されていない場合は、マネジメントレビューとしての有効性を説明しにくくなります。
ここでは、実際によく見られる不足例として、根拠の欠如、改善内容の曖昧な記載、記録として不足しやすい項目について解説します。
結論だけで根拠がない
「品質マネジメントシステムは有効である」「現状を維持する」といった結論だけを記載しているケースは、よく見られる不足例です。
内部監査の結果や品質目標の達成状況、顧客クレーム件数などの確認内容がないと、どのような根拠で判断したのかが分かりません。
そのため、結論だけを書くのではなく、判断のもとになった数値や実績もあわせて記録しておくことが大切です。これにより、報告書の内容がより分かりやすくなります。
改善内容が曖昧になっている
「改善を実施する」「対応を強化する」といった記載だけで、具体的な内容が書かれていないケースもよく見られます。
何を行うのか、誰が担当するのか、いつまでに完了するのかが分からないと、改善の進捗を確認できません。
そのため、実施する内容、担当部署や担当者、完了期限までを明確に記載しておくことが大切です。改善内容を具体的にしておくことで、次回のレビューでも進捗を確認しやすくなります。
記録として不足している内容
実施日や出席者、確認したインプット情報、経営者の判断結果が記載されていないケースは、記録として不足している状態です。
これらの情報がないと、いつレビューを行ったのか、誰が参加したのか、どの資料を確認したのかを後から確認できません。
そのため、マネジメントレビューを実施した事実と、その結果としてどのような判断を行ったのかが分かるように記録しておくことが大切です。
これにより、監査時にも説明しやすくなります。
まとめ
マネジメントレビュー報告書は、経営者が品質マネジメントシステムの状況を確認し、どのような判断を行ったのかを記録する大切な文書です。
単に会議の内容を残すのではなく、「何を確認し、どのような結論になったのか」を分かりやすく記録することが求められます。
作成するときは、内部監査の結果や品質目標の達成状況などの事実を整理したうえで、経営者の判断や今後の対応内容を具体的に記載することがポイントです。
改善内容についても、担当者や期限まで明確にしておくと、その後の進捗管理がしやすくなります。
難しく考える必要はありません。確認した内容と判断結果を対応させながら、必要な情報を漏れなくまとめていけば、監査でも説明しやすい報告書になります。
まずはシンプルな形式から作成し、自社で使いやすい形に少しずつ整えていくとよいでしょう。
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