目次
はじめに
プロジェクトマネジメント試験(以下、PM試験)にこれから挑戦しようとしている皆さんへ。本書は、合格を確実にするための勉強法と戦略をやさしく丁寧に解説します。
なぜ本書を読むべきか
PM試験は知識だけでなく、実務的な考え方と答案のまとめ方が問われます。本書では、試験の全体像から区分ごとの具体的な対策、教材の選び方、独学と講座の使い分けまで網羅します。初心者でも無理なく進められるよう、具体例と実践的なステップで説明します。
想定する読者
- 初めてPM試験を受ける方
- 何度か受験したが合格に届いていない方
- 限られた時間で効率よく学びたい社会人
読み方のポイント
まず第2章で試験の全体像を把握してください。その後、自分の状況に合わせて第3章以降の勉強法を実践すると効果的です。本書は章ごとに独立して読めますので、必要なところから読み進めてください。
プロジェクトマネージャ試験の概要・難易度
試験の目的と求められる力
プロジェクトマネージャ試験は、単に技術知識を問うだけでなく、計画立案・進捗管理・リスク対応といったマネジメント力や、論理的に説明する力も評価します。現場で成果を出す力を示すための国家試験です。
試験構成と出題形式
- 午前Ⅰ:基礎知識(四肢択一)
- 午前Ⅱ:応用知識(四肢択一)
- 午後Ⅰ:記述式(事例問題に短文で回答)
- 午後Ⅱ:論述式(長文でのプロジェクト検討・提案)
各セクションで求められる能力が異なり、暗記だけでは対応できません。
難易度と合格率
合格率は例年おおむね10〜15%前後と低めです。理由は出題範囲の広さと記述・論述の比重が大きいためです。実務経験がある人でも文章で整理できないと得点が伸びません。
初めて受ける人へのポイント
過去問で出題傾向を把握し、午前は幅広く、午後は実践的な記述練習を重ねましょう。時間配分と答案の構成を繰り返し練習することが合格への近道です。
合格に必要な勉強計画の立て方
目的と逆算で始める
試験日を起点に合格までの逆算をします。合格ラインや各科目の配点を確認し、到達すべき理解度を数値化すると計画が立てやすくなります。例:合格まで残り6か月なら、月ごと・週ごとの到達目標を決めます。
試験区分ごとの学習配分
- 午前Ⅰ・Ⅱ:知識の反復を重視。短時間の問題演習を毎日続け、正答率を上げます。例:1日30〜60分の過去問演習。
- 午後Ⅰ(記述):書く練習を重視。要点を短くまとめる訓練を週に数回行います。
- 午後Ⅱ(論述):論旨の構成練習を重視。過去問を解き、時間配分と論点整理を体に染み込ませます。
過去問中心の進め方
過去問を通して頻出テーマと自分の弱点を明確にします。最初は解説を読みながら、二回目以降は時間を計って実戦形式で解きます。
進捗管理と軌道修正
週単位で振り返りノートを作り、達成度と課題を可視化します。予定が遅れたら優先順位を入れ替え、弱点にフォーカスして補強します。
継続の工夫
短時間でも毎日触れることを習慣化します。勉強仲間と進捗を共有するとモチベーションが保ちやすくなります。
午前試験(午前Ⅰ・Ⅱ)の勉強法
準備の基本方針
午前試験は四肢択一の知識確認です。まずは過去問演習を中心に据え、参考書で基礎を固めます。過去問は直近3年分を繰り返すと出題パターンが見えてきます。
過去問演習の進め方
1回目は時間を気にせず正答と解説を丁寧に読みます。間違えた理由を書き出し、キーワードや論点をノートにまとめます。2回目以降は時間を計って解き、正答率と解答時間を記録してください。
苦手分野の潰し方
間違いの多い分野をリスト化し、参考書の該当ページや専門書で補強します。具体例で確認すると理解が深まります(例:リスク管理の設問は起こり得る事象と対策を整理)。フラッシュカードで用語を短時間で反復するのも有効です。
時間配分と本番対策
マークシートはスピードが鍵です。1問ごとの目安時間を定め、時間切れにならないよう見直しルールを作ります。本番前は模試形式で通し練習を行い、集中力持続を確認してください。
Webサービス・アプリの活用
過去問を解けるWebサービスやアプリで反復練習すると効率が上がります。日替わりで分野を変え、弱点を埋める習慣をつけましょう。
午後Ⅰ(記述式)試験の対策法
対策の全体像
午後Ⅰは短い記述で実務的な判断力を示す試験です。直近3年分の過去問を分析し、出題パターンと求められる表現をつかみます。問題の意図を素早く読み取り、結論を明確に書く訓練が重要です。
過去問分析の進め方
- 問題タイプを分類(原因・対策、優先順位、役割分担、リスク対応など)。
- 模範解答と自分の答案を比較し、差を明確にします。具体的に何が不足しているかをメモします。
記述の書き方(型)
基本の型は「結論→理由→具体例(手順や数値)→効果・留意点」です。字数制限があるので、結論は一文で先に示します。具体例は短い箇条で示すと読みやすくなります。
練習と添削の習慣
・制限時間内に書く練習を繰り返します。時間配分を身につけます。
・模範解答と照らし合わせて、表現の言い回しを真似します。
・可能なら第三者に添削してもらい、改善点を取り入れます。
試験当日の注意点
設問を全部読んでから解答順を決めます。重要なキーワードは下書きで整理し、結論は最初に述べます。文字は読みやすく丁寧に書いてください。
午後Ⅱ(論述式)試験の対策法
試験の特性理解
午後Ⅱは与えられたテーマについて自分の経験や知識を論理的にまとめる試験です。指定文字数の中で結論を明確に示し、理由と具体例で支持する力が求められます。
論述の基本テンプレート作成
以下の型をまず作り、繰り返し使えるようにします。
- 序論(結論を先に一文で示す)
- 背景・現状(問題の所在を簡潔に)
- 課題(具体的な障害や原因)
- 対策(自分ならこうする、具体例を1~2つ)
- 効果(期待される成果やリスク管理)
- 結論(最初の結論を再提示して締める)
この順で書くと読み手が理解しやすくなります。文章は短く区切り、見出し感覚で段落を分けると読みやすくなります。
実務経験が薄い場合の補い方
実務経験が少ないと感じるときは、合格者の論文や事例集を徹底分析します。共通する論理の組み立て方や使われる具体例を抽出し、自分の言葉で置き換えて練習します。参考書のケースを自分の経験に当てはめる演習も有効です。
タイムマネジメント
制限時間内に書き切る訓練を重ねます。練習では「構成を10〜15分で作る」「本文で書き切る」「最後に見直し」のように時間配分を決め、実際に時計を使って行ってください。書きながら推敲しすぎず、まず完成させる習慣をつけます。
添削と勉強会の活用
第三者の添削を受けると客観的な改善点が見えます。ポイントは論理の飛躍・具体性の不足・文字数の使い方です。勉強会ではお互いの答案を比較し、良い表現を取り入れてください。
練習の進め方(チェックリスト)
- 結論が段落1で明示されているか
- 理由が具体例で裏付けられているか
- 文字数を適切に使えているか
- 制限時間内に書けるか
これらを意識して、テンプレートで繰り返し練習してください。
おすすめ教材・参考書の選び方と活用法
選び方の基本
体系的に学べる参考書を複数比較し、自分に合う一冊を軸にします。読みやすさ、目次の構成、例題の有無を確認してください。初学者向けか実務者向けかで選び分けると効率が上がります。
参考書の種類と役割
- 体系書:知識の土台作り。PMBOKのような全体像を把握する本を1冊持つと安心です。
- 過去問集:出題傾向をつかむ。解説が丁寧なものを優先します。
- 記述・論述対策本:書き方の型や模範解答が重要です。実際に写して練習しましょう。
選ぶときの具体ポイント
目次を見て自分の弱点に対応しているかを確認します。最新年度の出題範囲に対応しているか、演習量が十分かもチェックしてください。
活用法(インプットとアウトプットの両立)
初めは体系書でインプットし、過去問でアウトプットします。記述・論述対策は週に数回、時間を計って解くと実践力がつきます。ノートは「要点+自分の言葉のまとめ」を作り、模範解答と比較して改善してください。
おすすめ例と組み合わせ
『みよちゃん本』で基本を押さえ、過去問集で出題傾向を固め、PMBOKで幅広い用語を補うとバランスが良くなります。自分の学習ペースに合わせて教材を組み合わせてください。
独学と勉強会・講座の活用
プロジェクトマネージャ試験は独学でも合格可能です。ただ、午後の記述・論述に自信がない場合は、外部の力を上手に借りると効率が上がります。
独学のメリット・デメリット
- メリット:費用を抑えられ、自分のペースで学べます。例えば平日はテキストで知識を固め、週末に過去問を解く方法が続けやすいです。
- デメリット:記述の添削や第三者の視点が得にくい点です。自分の書き方が正しいか判断しづらいことがあります。
勉強会・講座・添削サービスの活用法
- 勉強会:他受験者の視点や時間配分のコツを得られます。週1回のディスカッションで論点整理が進みます。
- 講座:短期で弱点を潰すのに有効です。講師の解説で理解が早まります。
- 添削サービス:実際の答案を第三者に見てもらい、改善点を具体的に示してもらえます。
選び方のポイント
- 自分の弱点(記述・論述・知識整理)を明確にする
- 費用対効果を考え、回数や添削の質を確認する
- 日程が自分の学習ペースに合うか確認する
実践例(目安)
- 独学中心:週5日はテキスト学習、週末に過去問・模擬記述
- 添削併用:月に1〜2回の添削と週1回の勉強会で書く力を強化
外部サービスは道具の一つです。自分の学習計画に合うかを基準に選ぶと、効率よく合格へ近づけます。
合格体験記から学ぶ効率的な勉強サイクル
はじめに
合格者の体験記は具体的な勉強サイクルの参考になります。実例を読み、自分の生活リズムに合わせて取り入れると効率が上がります。
具体的な勉強サイクル(例)
- 週次サイクル:学習2日(新しい知識)、演習2日(過去問・模試)、復習1日(間違い整理)、予備2日(柔軟に使用)
- 月次レビュー:月末に正解率・弱点を振り返り、翌月の重点を決めます
- 直前期(2〜3週間):過去問中心に本番形式で時間配分を確認します
過去問で正解率8割を目指す方法
過去問を繰り返し解き、間違いは必ずノートにまとめます。間違いの原因が知識不足なら参考書に戻り、解答手順のミスなら解き方を整理します。模試や過去問は本番と同じ時間で解き、時間配分を身につけます。
知識の横展開で対応力を高める
単一の問題だけでなく、関連分野まで広げて学びます。合格者は図やマインドマップでつながりを作り、別の分野の問題にも応用できるようにしています。
記録と振り返りの習慣
日々の学習時間、正答率、誤答の傾向を記録します。週ごとに短時間の振り返りを行い、次週の目標を明確にします。これにより成長が見える化します。
実践のコツ
- 模試は本番形式で必ず行う
- エラーリストを作り、定期的に復習する
- 時間と内容を決めて集中学習(ポモドーロ等)
合格者の体験は素材です。自分に合う部分を取り入れて、繰り返し改善することで効率的な勉強サイクルが作れます。
まとめ・合格へのポイント
合格の要点
プロジェクトマネージャ試験は、過去問演習と区分ごとの対策、論述力の養成を積み重ねることが大切です。基礎知識は午前で固め、午後の記述・論述では実務的な考え方と論理的な表現を磨きます。教材は自分の理解に合うものを厳選してください。
効率的な学習ルーチン
・毎日短時間でも過去問に触れる
・週に一度は記述・論述の練習と添削を受ける
・間違いノートを作り、同じミスを繰り返さない
試験直前の対策
・直前は新しい知識を詰め込まず、過去問の見直しに集中する
・時間配分の確認と、答案の書き方を最終確認する
モチベーションの保ち方
小さな目標を設定し、達成感を積み重ねてください。独学や実務未経験でも、計画的に対策を進めれば合格は十分狙えます。自分の弱点を把握して、着実に潰していきましょう。応援しています。