目次
はじめに
「プロジェクト管理では、どんなリスクを想定しておけばいいの?」
「問題が起きる前に、何を確認してどう対応すればいい?」と迷っていませんか。
スケジュールの遅れや担当者の変更、予算の超過などが起きそうでも、どの段階でリスクとして扱い、誰が対応するのか決められず、管理方法に困ることもありますよね。
この記事では、プロジェクト管理で想定されるリスクの種類から、洗い出し・評価・対応・確認までの管理手順、具体的な対応方法を紹介します。
プロジェクト管理におけるリスクとは?
プロジェクト管理におけるリスクとは、将来発生する可能性があり、スケジュールやコスト、品質などに影響を与える事象です。
ここでは、プロジェクト管理でいうリスクの意味と問題との違い、プロジェクトに与える影響について説明します。
プロジェクト管理でいうリスクの意味
プロジェクト管理でいうリスクとは、将来発生する可能性があり、プロジェクトの進行に影響を与える事象のことです。
まだ発生していないため、起こる可能性と発生した場合の影響を確認しておく必要があります。
事前にリスクを把握することで、問題が起きたときの対応を準備できます。
リスクと問題の違い
リスクは将来起こる可能性がある事象で、問題はすでに発生している事象を指します。
まだ起きていない段階ではリスクとして管理し、実際に発生した場合は問題として対応します。
両者を区別することで、発生前の備えと発生後の対応を整理しやすくなります。
リスクがプロジェクトに与える影響
リスクが発生すると、作業の遅れによる納期の延長や、追加作業によるコストの増加につながることがあります。
また、予定どおりに作業を進められず、成果物の品質に影響する場合もあります。
そのため、スケジュール・コスト・品質への影響を事前に確認しておくことが大切です。
プロジェクトで発生しやすいリスクの種類
プロジェクトでは、計画どおりに進めていても、納期の遅れや予算超過、成果物の品質低下などにつながるリスクが発生する場合があります。
ここでは、プロジェクトで発生しやすいリスクを6つに分けて説明します。
スケジュールに関するリスク
スケジュールに関するリスクとは、予定した作業が期限までに終わらず、納期に遅れが生じる可能性です。
作業時間の見積もり不足や前工程の遅れによって、次の作業を予定どおりに始められないことがあります。
1つの工程の遅れが後続工程にも影響し、プロジェクト全体の遅延につながる場合があります。
コストに関するリスク
コストに関するリスクとは、実際にかかる費用が当初の予算を上回る可能性です。
作業時間が増えたり、追加作業が必要になったりすると、人件費や外注費などの負担が大きくなります。
その結果、予定していた予算内でプロジェクトを完了できなくなる場合があります。
品質に関するリスク
品質に関するリスクとは、成果物が事前に決めた品質基準や要求を満たせなくなる可能性です。
確認作業が不足したり、作業内容に誤りがあったりすると、修正ややり直しが必要になります。
完成後に大きな不備が見つからないよう、各工程で品質を確認することが大切です。
要件・仕様に関するリスク
要件・仕様に関するリスクとは、プロジェクトの途中で要件や仕様が変わり、作業内容に影響が出る可能性です。
変更によって、すでに完了した作業の修正や新しい作業の追加が必要になることがあります。
要件や仕様が曖昧なまま進めると、後からやり直す作業が増える場合があります。
人員・体制に関するリスク
人員・体制に関するリスクとは、必要な人数や担当者を確保できず、作業が予定どおりに進まなくなる可能性です。
退職や異動、欠勤などで人手が不足すると、ほかのメンバーの負担が増えることがあります。
また、特定の担当者しか対応できない業務では、その人が不在になると作業が止まる場合もあります。
コミュニケーションに関するリスク
コミュニケーションに関するリスクとは、必要な情報が関係者に正しく伝わらず、作業や判断にずれが生じる可能性です。
仕様変更や決定事項の共有が遅れると、担当者が古い情報のまま作業を進めてしまうことがあります。
こうした行き違いを防ぐには、誰に何をいつまでに伝えるかを決めておくことが大切です。
プロジェクト管理でリスクを管理する手順
プロジェクトのリスク管理では、想定されるリスクを洗い出したうえで、発生確率と影響度を評価し、対応する順番を決めます。
その後、優先度に応じた対応策を実施し、プロジェクトの進行中もリスクの状態を確認することが必要です。
ここでは、リスクの洗い出しから評価、対応、監視・見直しまでの5つの手順を説明します。
リスクを洗い出す
最初に、プロジェクトの各工程で発生する可能性があるリスクを洗い出します。
スケジュール、コスト、品質、要件、人員などの項目ごとに、計画どおりに進まない要因を確認します。
洗い出した内容を記録しておくことで、次の手順で発生確率と影響度を評価できます。
発生確率と影響度を評価する
洗い出したリスクごとに、発生する可能性と発生した場合の影響を評価します。
発生確率と影響度をそれぞれ「高・中・低」の3段階など、同じ基準で判定すると比較しやすくなります。
評価結果をそろえることで、どのリスクから対応する必要があるか判断できます。
リスクの優先順位を決める
発生確率と影響度の評価結果をもとに、対応するリスクの優先順位を決めます。
発生確率と影響度がともに高いリスクは優先順位を上げ、どちらも低いリスクは順位を下げます。
順位を決めることで、限られた時間や人員を優先度の高いリスクから割り当てられます。
対応策を決めて実施する
優先順位を決めたリスクごとに、発生を防ぐ方法や発生した場合の対応を決めて実施します。
対応内容だけでなく、担当者と実施期限まで決めることで、誰がいつまでに対応するのか明確になります。
決めた期限に沿って対応を進め、未実施のまま残さないように管理します。
リスクを監視して見直す
プロジェクトの進行中は、洗い出したリスクの発生確率や影響度に変化がないか定期的に確認します。
状況が変わった場合は評価と優先順位を更新し、必要に応じて対応策も変更します。
新しいリスクが見つかった場合は管理対象へ追加し、プロジェクトの状況に合わせて継続的に見直します。
プロジェクトのリスクへの対応方法
プロジェクトでリスクを特定した後は、発生確率や影響度に応じて対応方法を決めます。
ここでは、リスクへの代表的な4つの対応方法について説明します。
リスクを回避する
リスクの回避とは、原因となる作業や条件を取り除き、リスクが発生しないようにする方法です。
作業を中止したり、計画や仕様を変更したりすることで、発生する可能性そのものをなくします。
特に、発生時の影響が大きく、別の方法に変更できる場合に適しています。
リスクを軽減する
リスクの軽減とは、リスクが発生する可能性や、発生した場合の影響を小さくする方法です。
リスクを完全になくせない場合に、事前の確認や対策を行い、問題が起こりにくい状態をつくります。
対策後もリスクは残るため、発生する可能性や影響を継続して確認することが大切です。
リスクを移転する
リスクの移転とは、リスクが発生した場合の損失や対応責任を、第三者に移す方法です。
契約や保険などを利用し、誰がどこまで負担するのかを事前に決めておきます。
ただし、リスク自体がなくなるわけではないため、自分たちに残る負担も確認しておく必要があります。
リスクを受容する
リスクの受容とは、リスクがあることを理解したうえで、特別な対策をせずに受け入れる方法です。
発生する可能性や影響が小さく、対策にかかる費用や手間が大きい場合に選びます。
ただし、実際に発生したときに備えて、必要な対応や費用をあらかじめ考えておくことも大切です。
リスク管理表を使ってプロジェクトのリスクを管理する
リスク管理表を使うと、洗い出したリスクの内容や優先順位、対応状況を一つの表で確認できます。
ここでは、リスク管理表に記録する項目と対応状況の管理方法、定期的な更新方法について説明します。
リスク管理表に記録する項目
リスク管理表には、リスクの内容や発生確率、影響度、優先順位、対応策、担当者、期限、対応状況などを記録します。
項目を統一することで、複数のリスクを同じ基準で比較しやすくなります。
また、誰がいつまでに対応するのかを明確にしておくと、対応漏れや遅れを防ぎやすくなります。
優先順位と対応状況を管理する
リスク管理表では、発生確率と影響度をもとに優先順位を決め、重要度の高いリスクから対応状況を確認します。
対応状況を「未対応・対応中・完了」の3段階で記録すると、残っている作業が分かりやすくなります。
また、対応期限と照らし合わせることで、遅れている作業も把握できます。
定期的にリスク管理表を更新する
リスク管理表は、週1回など確認する間隔を決め、発生確率や影響度、対応状況に変化がないか確認します。
状況が変わった場合は優先順位を見直し、新しいリスクが見つかれば表に追加します。
対応が終わったリスクも完了日を記録し、現在対応が必要なものを把握できるようにしておきましょう。
まとめ
プロジェクト管理のリスクとは、将来発生する可能性があり、スケジュール・コスト・品質などに影響を与える事象です。
リスクを管理するときは、想定される事象を洗い出し、発生確率と影響度を評価して優先順位を決めたうえで、回避・軽減・移転・受容から対応方法を選びます。
さらに、リスク管理表に対応策・担当者・期限・対応状況を記録し、週1回など決めた間隔で評価や進捗を更新することが必要です。
発生前からリスクを管理し続けることで、問題が起きた際に担当者が決めた対応を開始でき、納期遅延や予算超過、品質低下による影響を抑えやすくなります。