目次
はじめに
「フィードバックはどのように伝えれば相手に受け入れてもらえるの?」
「改善してほしい点を伝えたいのに、相手のやる気を下げてしまわないか不安」と感じていませんか。
実際に部下や後輩を指導する立場になると、「注意したつもりが相手が黙り込んでしまった」「何度伝えても同じミスが続く」「褒めるべきか改善点を伝えるべきか迷う」と悩む場面は少なくありません。
この記事では、フィードバックの基本的な考え方から相手に伝わりやすい進め方、すぐに実践できる具体例まで順を追って説明していきます。
フィードバックに苦手意識がある方も、ぜひ最後までご覧ください。
フィードバックとは相手の成長や改善につなげる伝え方

フィードバックという言葉はよく使われますが、「単なるアドバイスや注意と何が違うのか」「なぜ仕事や人材育成で重視されるのか」と疑問に感じる方もいるでしょう。
ここでは、フィードバックの基本的な考え方について順を追って解説します。
フィードバックの意味
フィードバックの意味とは、相手が行った行動や成果について、良かった点や改善したほうがよい点を具体的に伝えることです。
単に評価を伝えるのではなく、「どの行動が良かったのか」「次はどのように改善するとよいのか」を事実に基づいて伝え、今後の成長や行動改善につなげることが目的です。
相手が自分の行動を振り返り、次にどう行動すればよいかを考えやすくする役割があります。
アドバイスや注意との違い
フィードバックとアドバイスや注意の違いは、伝える内容にあります。
フィードバックは、相手が実際に行った行動や結果をもとに、「どの行動がどのような結果につながったのか」を伝えるものです。
一方、アドバイスは今後の行動を提案することであり、注意は問題のある行動を改めるよう促すことを指します。
それぞれ目的が異なるため、フィードバックは相手が自分の行動を振り返り、次に生かすための情報として活用されます。
なぜフィードバックが必要なのか
フィードバックが必要なのは、自分では気づきにくい行動の良し悪しを知り、次の行動に生かせるようにするためです。
人は自分の行動を客観的に見ることが難しいため、同じミスや改善点に気づかないまま仕事を進めてしまうことがあります。
周囲から具体的な意見をもらうことで、続けるべき点と改善すべき点が分かりやすくなり、次の行動につなげやすくなります。
フィードバック方法の基本的な流れ

フィードバックは、伝えたいことをその場の感情で話すだけでは相手に正しく伝わりません。
ここでは、相手に伝わりやすく成長を促しやすいフィードバックの基本的な進め方を解説します。
まずは事実を具体的に伝える
フィードバックを行う際は、最初に評価や感想ではなく、事実を具体的に伝えることが大切です。
「よくできていた」「対応が悪かった」といった曖昧な言い方ではなく、いつ、何を、どのように行ったのかを伝えることで、相手も自分の行動を振り返りやすくなります。
事実を共有してから話を進めることで、お互いの認識のずれも起こりにくくなります。
良かった点と改善点を整理する
事実を確認した後は、良かった点と改善点を分けて伝えます。
良かった行動は続けられるように伝え、改善が必要な点はどこを見直せばよいのかを具体的に伝えることが大切です。
分けて整理して伝えることで、相手も何を続けて、何を改善すればよいのかを理解しやすくなります。
次にどうすればよいかを伝える
フィードバックは行動を振り返るだけでなく、次にどうすればよいかまで伝えることが大切です。
改善点を指摘するだけでは、相手が何を変えればよいのか分からないこともあります。
続けたほうがよい行動や見直したほうがよい点を具体的に伝えることで、次の行動につなげやすくなります。
感情ではなく行動ベースで話す
フィードバックでは、「期待外れだった」「やる気が感じられなかった」といった感情や印象ではなく、実際の行動をもとに伝えることが大切です。
感情だけを伝えると相手は何を改善すればよいのか分かりにくくなりますが、行動を具体的に伝えることで、改善すべき点を理解しやすくなります。
代表的なフィードバック方法

フィードバックにはさまざまな手法がありますが、伝え方によって相手の受け取り方や改善への行動は大きく変わります。
内容が適切でも、伝え方を誤ると反発を招いたり意図が伝わらなかったりすることもあります。そのため、目的や状況に応じて適切な方法を選ぶことが大切です。
ここでは、実務でよく活用される代表的なフィードバック手法と、相手が受け入れやすくなる伝え方のポイントを解説します。
SBI型フィードバック
SBI型フィードバックとは、Situation(状況)、Behavior(行動)、Impact(影響)の順に伝える方法です。
まず、いつどのような場面だったのかを示し、次に相手が取った行動を伝えます。
そのうえで、その行動が周囲や業務にどのような影響を与えたのかを説明します。順番に整理して伝えることで、相手も内容を理解しやすくなります。
▶SBI型フィードバックとは?やり方・具体例・伝え方のコツをわかりやすく解説
サンドイッチ型フィードバック
サンドイッチ型フィードバックとは、最初に良かった点を伝え、その後に改善点を伝え、最後にもう一度良かった点や期待していることを伝える方法です。
改善点だけを伝える場合と比べて、相手が内容を受け止めやすくなり、前向きな気持ちで改善に取り組みやすくなります。
▶サンドイッチ型フィードバックとは?具体例と効果的な伝え方を解説
相手が受け入れやすい伝え方のコツ
相手が受け入れやすいフィードバックにするためには、人柄や性格ではなく、実際の行動について伝えることが大切です。
また、一方的に評価するのではなく、相手の考えを聞きながら話を進めることで、内容を受け止めてもらいやすくなります。
行動と結果を具体的に伝えながら対話することが、前向きな改善につながります。
『実際に部下へどう伝えればいいのか悩む方もいるかもしれません。具体的な言い回しや場面別の例を知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。』
▶部下へのフィードバック例|相手が受け入れやすい伝え方と具体例を紹介
フィードバックをするときのポイント

フィードバックは内容だけでなく、伝えるタイミングや話し方によって効果が大きく変わります。
ここでは、フィードバックを行う際に意識したい実践的なポイントを解説します。
タイミングを遅らせない
フィードバックは、対象となる行動や結果から時間を空けすぎずに伝えることが大切です。
時間が経つほど記憶が曖昧になり、どの行動について話しているのか分かりにくくなってしまいます。
できるだけ早めに伝えることで、事実を共有しやすくなり、改善にもつなげやすくなります。
人格ではなく行動に対して伝える
フィードバックでは、「責任感がない」「やる気が足りない」といった人格への評価ではなく、実際の行動について伝えることが大切です。
人格を指摘すると相手は否定されたと感じやすくなりますが、行動を対象にすることで、何を改善すればよいのかを具体的に理解しやすくなります。
一方的に話しすぎない
フィードバックは、伝える側だけが話し続けるのではなく、相手の考えや認識も確認しながら進めることが大切です。
一方的に評価や改善点を伝えるだけでは、相手がどのように状況を捉えていたのか分かりません。
相手の話にも耳を傾けることで、お互いの認識を合わせやすくなり、改善にもつなげやすくなります。
具体的な言葉で伝える
フィードバックでは、「もっと頑張ってほしい」「しっかり対応してほしい」といった曖昧な表現ではなく、行動や結果を具体的に伝えることが大切です。
言い方が曖昧だと相手は何を変えればよいのか分かりにくくなりますが、行動を明確に示すことで、改善すべき点を理解しやすくなります。
フィードバックの伝え方例

フィードバックの考え方や手順を理解していても、実際にどのような言葉で伝えればよいのか迷うことは少なくありません。
ここでは、場面ごとのフィードバックの伝え方を例文とともに紹介します。
部下へのフィードバック例
部下へのフィードバックでは、事実と改善点を具体的に伝えることが大切です。
例えば、「昨日の顧客向け資料は期限内に提出できていて良かったです。一方で、数値の確認漏れがあったため、次回は提出前にチェックリストを使って確認してみましょう」
と伝えると、良かった点と改善点を分かりやすく伝えられます。
同僚へのフィードバック例
同僚へのフィードバックでは、対等な立場を意識しながら、事実と改善点を伝えることが大切です。
例えば、「先週の会議では議事録を当日中に共有してくれて助かりました。ただ、決定事項と検討事項が少し分かりにくかったので、次回は項目を分けるとさらに見やすくなると思います」
と伝えると、相手も前向きに受け取りやすくなります。
改善してほしいことを伝える例
改善してほしいことを伝える場合は、問題となった行動と今後の対応を具体的に示すことが大切です。
例えば、「今月の進捗報告は予定日より1日遅れていたため、全体スケジュールの更新が遅れてしまいました。次回からは提出日の17時までに共有してもらえると助かります」
と伝えると、相手も改善点を理解しやすくなります。
良い行動を伸ばしたいときの例
良い行動を伸ばしたいときは、成果だけでなく、成果につながった行動を具体的に伝えることが大切です。
例えば、「先週の顧客対応では、問い合わせに素早く対応してくれたおかげで、追加の問い合わせもなくスムーズに完了しました。今後もその進め方を続けてもらえるとうれしいです」
と伝えると、相手も良い行動を意識して続けやすくなります。
フィードバックでやってはいけない伝え方

フィードバックは相手の成長を支援するためのものですが、伝え方を間違えると改善につながらないだけでなく、信頼関係を損ねる原因になることもあります。
ここでは、フィードバックでやってはいけない代表的な伝え方について解説します。
感情的に否定する
感情的に否定する伝え方は、フィードバックとして適切ではありません。
怒りや不満をそのまま伝えると、相手は改善点よりも否定されたことに意識が向きやすくなります。フィードバックでは感情ではなく、事実や行動をもとに伝えることが大切です。
抽象的な指摘だけで終わる
「もっと意識してほしい」「改善が必要だ」といった抽象的な指摘だけでは、相手は何を変えればよいのか分かりにくくなります。
そのため、フィードバックでは問題となった行動と、今後どのように行動すればよいのかを具体的に伝えることが大切です。
過去の失敗ばかり責める
過去の失敗ばかりを責める伝え方は、フィードバックとして適切ではありません。
失敗を繰り返し指摘すると、相手は改善方法よりも責められていることに意識が向きやすくなります。
フィードバックでは過去の行動を振り返りながら、次にどのような行動を取ればよいのかを伝えることが大切です。
人前で強く指摘する
人前で強く指摘する伝え方は、フィードバックとして避けたい方法です。
複数人の前で厳しく指摘されると、相手は改善内容よりも周囲の目を気にしてしまうことがあります。
改善点を伝えるときは、落ち着いて話せる環境を選ぶことが大切です。
フィードバック方法でよくある悩み

フィードバックの基本を理解していても、実際の現場では「どこまで厳しく伝えるべきか」「相手の反応が気になる」と悩むことがあります。
ここでは、フィードバックを行う際によくある悩みと対処のポイントを解説します。
厳しく伝えるべきか迷う
フィードバックでは、厳しく伝えることよりも、改善すべき行動を分かりやすく伝えることが大切です。
強い言葉で指摘しても、相手が改善内容を理解できなければ行動は変わりません。問題となった行動とその結果を伝えたうえで、次に取るべき行動を具体的に示すようにしましょう。
相手が落ち込みやすい場合はどうするか
相手が落ち込みやすい場合でも、改善点を伝えないままにするのではなく、事実や行動を中心に伝えることが大切です。
人格や能力ではなく行動について話し、良かった点もあわせて伝えることで、相手は改善点を受け止めやすくなります。
また、次に取るべき行動を具体的に示すことで、前向きに行動しやすくなるでしょう。
改善が見られない場合はどうするか
改善が見られない場合は、同じ指摘を繰り返すだけでなく、改善すべき行動が具体的に伝わっているかを改めて確認することが大切です。
相手が理解していても実行できていない場合は、どこでつまずいているのかを一緒に確認しながら進めましょう。
必要に応じて行動内容を見直すことで、改善につながりやすくなります。
『フィードバックを続けても改善が見られない場合、『そもそも相手の話をどう聞けばよいのか』『状況を正しく把握する方法はあるのか』と悩むこともあります。相手から情報を引き出すコツについては、こちらの記事で詳しく解説しています。』
▶ヒアリングのコツ|相手から本音や状況を引き出す質問方法を解説
まとめ
フィードバックは、相手を評価したり否定したりするためのものではなく、より良い行動につなげるためのコミュニケーションです。
大切なのは、感情や印象ではなく事実や行動をもとに伝え、良かった点と改善点を分かりやすく共有することです。
伝え方を少し工夫するだけでも、相手は内容を受け止めやすくなり、次の行動につなげやすくなります。
最初から完璧に行う必要はありません。まずは事実を伝え、相手と対話しながら次の行動を一緒に考えることを意識してみてください。
小さな積み重ねが、相手の成長やより良いコミュニケーションにつながっていくでしょう。