目次
はじめに
「共感力ってよく聞くけれど、実際にはどんな力なの?」「共感力が高い人って、どんなところが違うの?」「自分の共感力は高いのか、それとも低いのか分からない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
たとえば、友人が仕事の失敗を話しているときに「それは大変だったね」と気持ちを受け止めてくれる人もいれば、「こうすればよかったんじゃない?」とすぐに助言をする人もいます。同じ会話でも、相手の気持ちに寄り添う人がいる一方で、出来事の正しさや解決方法に目が向く人もいます。このような違いの中でよく話題になるのが「共感力」です。
共感力とは、相手の気持ちや立場を想像し、その人が感じている感情を自分の中で受け止める力のことを指します。仕事の場面では同僚や部下との信頼関係につながり、家庭や友人関係では会話の安心感につながるため、人間関係の中で大切にされる力としてよく取り上げられます。
ただし、「共感すること」と「同情すること」は意味が少し違いますし、相手に寄り添っているつもりでも、実際には自分の意見を先に伝えてしまっていることもあります。そのため、「共感しているつもりだけれど、これでいいのか分からない」と感じる人も少なくありません。
この記事では、まず共感力とはどのような意味なのかを整理したうえで、共感力が高い人に見られる特徴を具体的に紹介します。さらに、日常の会話の中でできる共感力の高め方についても、順番に分かりやすく説明していきます。
共感と似ている言葉に「同情」があります。違いが気になる方は、次の記事で詳しく説明しています。
▶同情とは?意味・使い方・共感との違いを分かりやすく解説します
共感力とは?

共感力とは、相手の感情や立場を理解し、その気持ちに寄り添って考えたり行動したりできる力のことです。ただ「分かる」と感じるだけではなく、相手の状況や気持ちを想像し、適切な言葉や対応につなげる力として使われます。ここでは、まず「共感力」という言葉の意味を整理し、そのうえで「共感」と「共感力」の違いについて説明します。
共感という言葉の意味や具体的な使い方について詳しく知りたい方は、次の記事で解説しています。
▶共感とは?意味・使い方・例文を分かりやすく解説します
共感力の意味
共感力とは、相手が感じている感情や状況を自分の立場として理解し、その気持ちを言葉や態度で示せる力のことです。たとえば相手が「仕事がうまくいかなくて落ち込んでいる」と話したときに、すぐに解決策を提示するのではなく、「それはつらかったですね」「かなり大変だったのではありませんか」と相手の感情をそのまま言葉で確認して返す行動が共感にあたります。
相手の発言内容だけでなく、そのときの表情、声のトーン、話す速度などから感情の状態を読み取り、その感情を理解していることを具体的な言葉で示す力が共感力です。
共感と共感力の違い
共感は、相手の感情をその場で理解する一つの反応を指します。たとえば相手が「今日は失敗して落ち込んでいる」と話したときに、「それはつらかったですね」と相手の気持ちを受け取って言葉を返す行動が共感です。これに対して共感力は、そのような共感の行動を状況に応じて継続して行える能力を指します。
相手の話を途中で遮らず最後まで聞き、相手の表情や声の変化から感情を読み取り、その感情に対応する言葉を選んで返す一連の行動を安定して行えるかどうかが共感力の違いになります。
共感力が高い人の特徴

共感力が高い人は、相手の話を聞いたときに自分の意見をすぐに言うのではなく、まず相手が感じている気持ちや状況を理解しようとします。会話の中では、相手の感情を言葉にして受け止めたり、相手の立場に立って状況を考えたりする姿勢が見られます。ここでは、共感力が高い人に共通して見られる具体的な行動や考え方の特徴を整理します。
相手の感情を言葉で受け止める
共感力が高い人は、相手が話している内容だけでなく、そのときの感情を言葉にして受け止めます。
相手が「仕事でミスをして落ち込んでいる」と話したときに、すぐに助言や評価を返すのではなく、「それは悔しかったですね」「かなりつらかったのではありませんか」と相手の感情をそのまま言葉にして返します。感情を言葉で確認することで、相手は自分の気持ちが理解されていると感じやすくなり、話の内容だけでなく感情まで受け止めてもらえている状態が生まれます。
相手の立場で物事を考える
共感力が高い人は、自分の考えや経験を基準に判断するのではなく、相手が置かれている状況を前提にして物事を考えます。
相手が「残業が続いて疲れている」と話したときに、「自分なら耐えられる」と基準を置くのではなく、勤務時間、担当業務、直近の出来事など相手の状況を踏まえて、その立場でどのような負担がかかっているのかを考えて言葉を返します。自分の立場ではなく相手の立場から状況を組み立てて考えるため、相手が感じている負担や感情を外さずに受け止めることができます。
否定や評価をすぐに言わない
共感力が高い人は、相手の話を聞いた直後に「それは違う」「それは良くない」といった否定や評価を口にしません。相手が話し終える前に判断を示すと、相手は話の途中で評価されたと感じて言葉を止めやすくなるためです。
そのため、相手が出来事と気持ちを最後まで説明するまで口を挟まずに聞き、発言の内容を受け止めてから言葉を返します。先に否定や評価を出さないことで、相手は途中で話を止めずに状況や感情を最後まで伝えることができます。
共感力が低い人の特徴

共感力が低いとされる人は、相手の気持ちを理解する前に自分の考えを伝えてしまうことがあります。話の内容を聞いてすぐに否定したり、自分の経験や意見を先に話したりすることで、相手の感情が受け止められていないと感じさせてしまう場合があります。ここでは、会話や人間関係の中で見られやすい共感力が低い人の行動や考え方の特徴を整理します。
相手の話をすぐに否定してしまう
共感力が低い人は、相手が出来事や感情を話している途中で「それは違う」「考えすぎだと思う」「普通はそうならない」といった否定の言葉をすぐに返します。相手の話の内容を最後まで聞く前に判断を示すため、相手は自分の感じていることを説明しきる前に会話が止まりやすくなります。
話の途中で否定が入ると、相手は自分の状況や感情が理解されていないと受け取り、その後の会話でも出来事や気持ちを詳しく話さなくなります。
自分の意見や経験を先に話してしまう
共感力が低い人は、相手が出来事や感情を話している途中で、自分の考えや過去の経験を先に話し始めます。相手が「仕事でミスをして落ち込んでいる」と話したときに、相手の状況や感情を確認する前に「自分も同じことがあった」「自分ならこうする」と自分の話へ切り替えます。
相手の話が途中で自分の経験の説明に置き換わるため、相手は出来事の経緯や感じていることを最後まで話せなくなります。自分の意見や経験が先に出ることで、相手の話の内容と感情が十分に受け止められない状態になります。
感情よりも結果や正しさを優先する
共感力が低い人は、相手が感じている気持ちよりも、出来事の結果や行動の正しさを先に判断します。相手が「仕事で失敗して落ち込んでいる」と話したときに、落ち込んでいる理由や感情を受け止める前に、「そのやり方が間違っていた」「最初から確認すべきだった」と結果や行動の正誤を指摘します。
感情の確認を行わずに結果の評価を先に伝えるため、相手が話している気持ちは会話の中で受け止められないままになります。
共感力を高める方法

共感力は生まれつきの性格だけで決まるものではなく、日常の会話や意識の持ち方によって高めていくことができます。相手の話を聞くときの姿勢や言葉の選び方を少し変えるだけでも、相手の気持ちを理解しやすくなります。ここでは、会話の中で実践できる具体的な共感力の高め方を紹介します。
相手の感情を言葉で確認する
相手が話している出来事の内容だけでなく、そのときに感じている気持ちを言葉にして確認します。相手が話し終えたあとに「それは悔しかったですね」「かなり疲れている状態だったのではありませんか」と、相手の発言の中に含まれている感情をそのまま言葉にして返します。
感情を言葉で確認すると、相手は自分の気持ちが正しく受け取られているかどうかをその場で判断できるため、話の内容だけでなく感情まで受け止められている状態になります。
結論や助言を先に言わない
相手が出来事や気持ちを話している途中で、「こうすればいい」「それはこうするべきだ」と結論や助言を先に言わないようにします。相手の話を途中で止めて解決策を示すと、相手は状況や感情を十分に説明できないまま会話が終わりやすくなります。
そのため、相手が出来事の経緯と感じていることを最後まで話し終えるまで口を挟まずに聞き、話が終わってから言葉を返します。結論や助言を後に回すことで、相手の話の内容と感情の両方を受け止める時間を確保できます。
相手の立場で状況を想像する
相手が置かれている状況を、自分ではなく相手の立場を基準にして考えます。相手が話している出来事について、勤務時間、担当している業務、直前に起きた出来事など、相手の状況を前提にして「その状況ならどのような負担や感情が生まれるか」を順番に組み立てて想像します。
自分の経験や判断を基準にせず、相手の条件をそのまま前提にして状況を考えることで、相手が感じている気持ちとずれにくい理解ができます。
共感力が高い人が評価される理由

共感力が高い人は、相手の気持ちや立場を理解したうえで会話や対応ができるため、人間関係の中で信頼を得やすい傾向があります。仕事や日常のやり取りでも、相手の話を受け止めながら意思疎通ができるため、会話や協力がスムーズに進みやすくなります。ここでは、共感力が高い人が周囲から評価されやすい理由を整理します。
信頼関係を作りやすい
共感力が高い人は、相手が話している出来事や感情を途中で否定せずに聞き取り、その感情を言葉にして返します。相手は自分の状況や気持ちが正しく受け止められていると判断できるため、その人に対して安心して話せる相手だと認識します。自分の話を途中で遮られず、感情まで受け止めてもらえる経験が繰り返されると、相手は同じ相手に状況や考えを継続して話すようになります。
その結果、会話を重ねる関係が続きやすくなり、相手との信頼関係が形成されます。
コミュニケーションが円滑になる
共感力が高い人は、相手の発言を途中で否定したり話を遮ったりせず、内容と感情の両方を確認しながら言葉を返します。相手は自分の話が途中で評価されたり否定されたりしないと分かるため、出来事の経緯や考えを最後まで説明しやすくなります。
話の内容が途中で止まらずに最後まで共有されることで、互いの状況や意図の認識がずれにくくなり、会話のやり取りが止まらずに進みます。
その結果、会話の往復が途切れにくくなり、コミュニケーションが円滑に進みます。
まとめ
共感力とは、相手が感じている感情や状況を理解し、その気持ちを言葉や態度で受け止める力です。相手の話を途中で否定したり、自分の意見や助言を先に言ったりすると、相手は出来事や感情を十分に話せなくなります。
一方で、相手の話を最後まで聞き、感じている気持ちを言葉で確認し、相手の立場を前提にして状況を考えることで、相手は自分の気持ちが理解されていると感じやすくなります。
こうしたやり取りが続くと、相手は安心して話せる相手だと判断し、会話の往復が途切れにくくなります。
その結果、相手との信頼関係が生まれ、日常の会話や仕事のやり取りでもコミュニケーションが進みやすくなります。