目次
はじめに
「競争地位の分類は、自動車産業以外ではどう当てはめればよいのだろう」
「リーダー・チャレンジャー・フォロワー・ニッチャーの企業事例を一覧で整理したいけれど、どの会社をどこに分類すればよいのだろう」と迷っていませんか。
マーケティングの授業やレポート、社内資料で競争地位を説明しようとしても、自動車メーカーの例ばかりだと、食品・小売・IT・外食など別の業界に置き換えるときに手が止まってしまうことがありますよね。
この記事では、自動車産業以外の業界を使って、4分類の意味や企業事例、一覧で見たときの違いを順を追って説明していきます。
競争地位の4分類とは?
競争地位の4分類では、市場の中で企業がどの位置にいるのかを、リーダー・チャレンジャー・フォロワー・ニッチャーの4つに分けて整理します。
ここでは、それぞれの分類ごとに、どのような立場にある企業なのかを見ていきます。
リーダー
リーダーとは、同じ市場の中で売上高や販売数量のシェアが最も大きく、価格設定、新商品の投入、販売チャネルの拡大などで他社の動きに影響を与える企業です。
市場全体の需要が伸びれば自社の販売数も増えやすいため、広告量を増やしたり、取扱店舗を広げたりして、市場そのものを広げる行動をとります。
また、2位以下の企業にシェアを奪われないように、主力商品の改良、価格帯の調整、販売促進の強化を継続して行う点もリーダーの特徴です。
チャレンジャー
チャレンジャーとは、同じ市場の中でリーダーに次ぐ売上高や販売数量のシェアを持ち、1位企業との差を縮めるために価格、商品機能、広告量、販売チャネルなどで攻める企業です。
リーダーと同じ顧客層を狙うため、値下げ、上位機能の追加、キャンペーンの強化などで、リーダーから顧客を奪う行動をとります。
リーダーとの差が大きいままでは市場での発言力が弱くなるため、既存商品の改良や新商品の投入を続け、シェアの拡大を目指す点がチャレンジャーの特徴です。
フォロワー
フォロワーとは、同じ市場の中でリーダーやチャレンジャーを追う立場にあり、売上高や販売数量のシェアでは上位企業に届かない企業です。
市場で成功している商品仕様、価格帯、販売方法を確認したうえで、自社の商品やサービスに取り入れるため、新しい市場を一から作る費用や失敗のリスクを抑えやすくなります。
リーダーから大きく顧客を奪うよりも、既存市場の中で一定の販売数を確保し、安定して利益を出す行動をとる点がフォロワーの特徴です。
ニッチャー
ニッチャーとは、同じ市場の中でリーダーやチャレンジャーが重視しにくい特定の顧客層、用途、地域、価格帯に絞って販売する企業です。
市場全体のシェアでは上位に入らなくても、限られた範囲で商品仕様、接客方法、販売経路を細かく合わせるため、その分野では顧客に選ばれやすくなります。
大きな市場で上位企業と正面から競争するよりも、狭い市場で一定の販売数と利益率を確保する行動をとる点がニッチャーの特徴です。
競争地位の分類を自動車産業以外で見ると?
競争地位の分類は、自動車産業だけでなく、コンビニ、EC、飲料、ファストフード、スマホなどの身近な業界でも確認できます。
ここでは、自動車産業以外の業界を使いながら、4分類の見方を具体的に整理します。
コンビニ業界の例
コンビニ業界で見ると、セブン-イレブンは国内店舗数が2万店を超え、ファミリーマートやローソンを上回るため、リーダーに分類しやすい企業です。
ファミリーマートやローソンは、店舗数では2位・3位の位置にあり、商品開発、値引き企画、アプリ施策などで1位との差を縮めようとするため、チャレンジャーとして見られます。
ミニストップやセイコーマートのように、上位3社より店舗数が少ない企業は、全国の店舗数で正面から競うよりも、店内調理や特定地域での出店に力を入れるため、ニッチャーに近い位置づけになります。
EC業界の例
EC業界で見ると、Amazonは商品数、配送網、利用者数の大きさから、リーダーに分類しやすい企業です。
楽天市場やYahoo!ショッピングは、多くの店舗を集めたモール型の仕組みやポイント施策を使い、Amazonとの差を縮めようとするため、チャレンジャーとして見られます。
ZOZOTOWNのように、ファッション分野に絞ってブランド数、サイズ検索、コーディネート提案を強化する企業は、市場全体で1位を狙うよりも、特定分野で選ばれる行動をとるため、ニッチャーに近い位置づけになります。
飲料業界の例
飲料業界で見ると、日本コカ・コーラは炭酸飲料、茶系飲料、コーヒー飲料など複数の商品群を持ち、自動販売機や小売店での販売量も大きいため、リーダーに分類しやすい企業です。
サントリーやアサヒ飲料は、茶系飲料、炭酸飲料、機能性飲料などで主力商品を強化し、広告量や販売棚の確保によって上位企業との差を縮めようとするため、チャレンジャーとして見られます。
特定の健康飲料や地域限定飲料に絞って販売する企業は、飲料市場全体で1位を狙うよりも、限られた顧客層や用途で選ばれる行動をとるため、ニッチャーに近い位置づけになります。
ファストフード業界の例
ファストフード業界で見ると、日本マクドナルドは全国に多くの店舗を持ち、ハンバーガー、ポテト、セットメニューを低価格帯から販売しているため、リーダーに分類しやすい企業です。
モスバーガーやケンタッキーフライドチキンは、商品品質、限定メニュー、店舗体験を強化し、マクドナルドとは違う選ばれ方で顧客を増やそうとするため、チャレンジャーとして見られます。
特定の食材、調理方法、客層に絞って店舗を展開する企業は、店舗数で1位を狙うよりも、限られた需要に合わせて販売するため、ニッチャーに近い位置づけになります。
スマホ業界の例
スマホ業界で見ると、AppleはiPhoneの販売台数、ブランド力、OS、アプリ、周辺機器を組み合わせた利用環境を持つため、リーダーに分類しやすい企業です。
SamsungやXiaomiは、複数の価格帯で端末を投入し、カメラ性能、画面サイズ、充電速度などを強化して上位企業との差を縮めようとするため、チャレンジャーとして見られます。
ゲーミングスマホや低価格スマホなど特定の用途や価格帯に絞って販売する企業は、スマホ市場全体で1位を狙うよりも、限られた顧客層に合わせて機能や価格を調整するため、ニッチャーに近い位置づけになります。
なぜその企業はその競争地位に分類されるのか
企業を競争地位に分類するときは、企業名の知名度だけで決めるのではなく、市場シェアと競争行動を合わせて見る必要があります。
ここでは、市場シェアで判断する場合と、競争行動で判断する場合に分けて整理します。
市場シェアで判断する場合
市場シェアで判断する場合は、同じ市場にいる企業の売上高、販売数量、利用者数などを比べて、何位にいるかを確認します。
1位の企業はリーダー、2位以下で1位との差を縮めようとする企業はチャレンジャー、上位企業を追いながら一定の販売数を確保する企業はフォロワー、全体シェアは小さくても特定分野で選ばれている企業はニッチャーと判断します。
市場シェアを見ることで、企業の規模だけでなく、どの企業を相手に競争しているのか、どの範囲で勝とうとしているのかを整理しやすくなります。
競争行動で判断する場合
競争行動で判断する場合は、その企業が価格、商品機能、広告量、販売チャネルをどのように動かしているかを確認します。
市場全体の需要を広げるために新商品や広告を増やす企業はリーダー、1位企業から顧客を奪うために値下げや機能追加を行う企業はチャレンジャー、上位企業の成功した商品仕様や販売方法を取り入れる企業はフォロワー、特定の顧客層や用途に合わせて商品や売り方を絞る企業はニッチャーと判断します。
競争行動を見ることで、売上高や販売数量だけでは分かりにくい企業の立場を整理しやすくなります。
競争地位の4分類一覧表
競争地位の4分類は、市場の中での順位、販売量、価格を決める力、他社への対応の仕方で分けると整理しやすくなります。
自動車産業以外で見る場合も、1位企業をリーダー、1位を追いかける2位以下の有力企業をチャレンジャー、上位企業の成功した商品や販売方法を参考にする企業をフォロワー、特定の顧客や用途に絞る企業をニッチャーとして判断します。
| 分類 | 市場での位置づけ | 判断の目安 | 企業事例 |
|---|---|---|---|
| リーダー | 市場シェア1位で、価格、商品数、販売方法に大きな影響を持つ企業 | 売上や利用者数で1位を取り、新商品や料金改定を行うと同業他社が追随する | Amazon、マクドナルド、ユニクロ |
| チャレンジャー | リーダーに対して、価格、機能、店舗数、広告で差を縮めようとする企業 | 2位以下でも市場上位に入り、1位企業の顧客を奪うために新サービスや低価格施策を出す | 楽天市場、バーガーキング、GU |
| フォロワー | 上位企業の成功した商品、価格帯、販売方法を参考にして展開する企業 | 先行企業の商品が売れた後に、似た価格帯や似た売り場で商品を出し、大きな開発費をかけすぎない | 地方スーパー、ドラッグストアPB商品、後発の定額サービス |
| ニッチャー | 市場全体ではなく、特定の顧客、用途、地域、価格帯に絞って選ばれる企業 | 大手が全顧客向けに出す商品ではなく、専門性、限定用途、狭い客層で購入理由を作る | 成城石井、モンベル、ワークマン |
この表を見ると、競争地位は企業の知名度だけで決まるものではありません。
たとえば売上規模が大きくても、特定の商品分野だけに強い場合はニッチャーに近くなります。
反対に、全国で多くの顧客を持ち、価格や商品展開に他社が合わせる状況であれば、リーダーとして分類しやすくなります。
まとめ
競争地位の分類は、企業をリーダー・チャレンジャー・フォロワー・ニッチャーの4つに分け、市場での立場や戦い方を整理する考え方です。
それぞれの違いを知ることで、企業がなぜその商品や価格、販売方法を選んでいるのかが見えやすくなります。
分類するときは、知名度や売上規模だけで判断するのではなく、市場シェアと実際の競争行動を合わせて見ることが大切です。
「市場をリードしているのか」「1位を追っているのか」「成功事例を活用しているのか」「特定の市場に絞っているのか」という視点で考えると、4つの違いを整理しやすくなります。
レポートや企業分析で迷ったときは、まず企業が市場の中でどのような立場にあり、どのような戦い方をしているのかを確認してみてください。
自動車やコンビニ、ECなど身近な業界に当てはめて考えると、競争地位への理解も深まりやすくなるでしょう。