プロジェクトマネジメント

▶RAIDログとリスクレジスターの違い|役割・使い分けをわかりやすく解説 

はじめに

「RAIDログとリスクレジスターは、どちらもリスクを管理するものなの?」
「プロジェクトで問題や懸念事項が出てきたとき、どちらに記録すればいいの?」と迷っていませんか。

実際にプロジェクトを進めていると、これから起こる可能性があるリスクだけでなく、すでに発生している課題や、作業を進めるうえでの前提条件、ほかの作業との依存関係なども管理する必要があり、記録先が分かりにくくなることがあります

この記事では、それぞれに何を記録するのか、役割にはどのような違いがあるのか、プロジェクトの状況に応じてどう使い分ければよいのかを整理し、順を追って説明していきます。

【比較表】RAIDログとリスクレジスターの違い

RAIDログとリスクレジスターは、どちらもプロジェクトで発生する不確実な情報を管理するために使いますが、目的や管理する対象、記載する項目には違いがあります。

ここでは、RAIDログとリスクレジスターの違いを比較表で確認したうえで、どちらを使うべきか迷ったときの考え方について説明します。

RAIDログとリスクレジスターの違いを比較表で整理

RAIDログとリスクレジスターの違いは、主に管理する情報の範囲にあります。

比較項目RAIDログリスクレジスター
目的プロジェクトで確認・対応が必要な情報をまとめて管理するリスクを把握し、対応状況を管理する
管理対象リスク・前提条件・課題・依存関係リスク
記載項目内容・担当者・期限・状態などリスク内容・発生確率・影響度・対応策・担当者など
更新タイミング項目の追加や状況変更があったときリスクの発見や評価・対応状況が変わったとき

RAIDログは幅広い情報をまとめて管理したい場合、リスクレジスターはリスクを詳しく評価・管理したい場合に適しています。

どちらを使うべきか迷ったときの考え方

どちらを使うか迷ったときは、管理したい情報の範囲を確認すると分かりやすくなります。

リスクを詳しく管理したい場合はリスクレジスター、リスクだけでなく前提条件・課題・依存関係もまとめて管理したい場合はRAIDログが適しています。

必要に応じて両方を使い、RAIDログでプロジェクト全体の状況を確認しながら、リスクレジスターで個別のリスクを詳しく管理する方法もあります。

RAIDログとは?

RAIDログは、プロジェクトを進めるなかで発生するリスクや前提条件、課題、依存関係を一つにまとめて管理するための記録です。

ここでは、RAIDログを使う目的を確認したうえで、管理する4つの要素であるRisk・Assumption・Issue・Dependencyと、実際に活用される場面について説明します。

RAIDログの目的

RAIDログの目的は、プロジェクトで確認や対応が必要な情報を一か所にまとめ、関係者で共有しやすくすることです。

それぞれの項目に担当者や期限、対応状況などを記録しておけば、誰が何をいつまでに対応するのかを確認しやすくなります。

状況が変わったときに内容を更新することで、対応漏れや確認漏れを防ぐことにもつながります。

RAIDログで管理する4つの要素(Risk・Assumption・Issue・Dependency)

RAIDログでは、Risk(リスク)・Assumption(前提条件)・Issue(課題)・Dependency(依存関係)の4つを管理します。

Riskは今後起こる可能性がある問題、Assumptionはプロジェクトを進めるうえで前提となる条件、Issueはすでに発生している問題、Dependencyはほかの作業や担当者との依存関係を指します。

4つに分けて記録することで、現在対応が必要なことと、今後注意して確認したいことを整理しやすくなります。

RAIDログが活用される場面

RAIDログは、複数の担当者やチームが関わり、リスクや課題などを継続して確認する必要があるプロジェクトで活用されます。

定例会議や進捗確認の際に、担当者や期限、対応状況を確認することで、現在の状況を関係者で共有しやすくなります。

新しいリスクや課題が見つかったときや状況が変わったときに更新し、最新の情報を確認できる状態にしておくことが大切です。

リスクレジスターとは?

リスクレジスターは、プロジェクトで起こる可能性があるリスクを洗い出し、発生確率や影響度、対応方法などを記録して管理するためのものです。

ここでは、リスクレジスターを作成する目的や記載する主な項目を確認したうえで、実際にどのような場面で活用されるのかを説明します。

リスクレジスターの目的

リスクレジスターの目的は、プロジェクトで今後起こる可能性があるリスクを整理し、必要な対策を進めやすくすることです。

それぞれのリスクについて発生確率や影響度を確認し、優先順位や担当者、対応方法などを決めておきます。

状況が変わったときは内容を更新し、注意が必要なリスクを継続して管理していくことが大切です。

リスクレジスターに記載する主な項目

リスクレジスターには、リスクの内容や発生確率、影響度、優先度、対応方法、担当者、期限、現在の状況などを記載します。

発生確率や影響度は「高・中・低」や数値など、プロジェクト内で共通の基準を決めて評価すると分かりやすくなります。

リスクごとに情報を整理しておくことで、どのリスクから対応すればよいのかを判断しやすくなります。

リスクレジスターが活用される場面

リスクレジスターは、プロジェクト開始時にリスクを洗い出すときや、進行中の定例会議、進捗確認などで活用されます。

新しいリスクが見つかった場合は追加し、発生確率や影響度、対応状況などに変化があれば内容を更新します。

定期的に見直すことで、優先度の高いリスクを確認しながら、必要な対応を進めやすくなります。

RAIDログとリスクレジスターの使い分け

RAIDログとリスクレジスターは、管理したい情報の範囲やリスク管理に求める詳しさによって使い分けます。

ここでは、RAIDログだけで十分なケース、リスクレジスターを作成すべきケースを確認したうえで、2つを併用する場合の考え方について説明します。

RAIDログだけで十分なケース

RAIDログだけでも十分なのは、リスクの数が少なく、発生確率や影響度まで細かく評価する必要がない場合です。

リスク・前提条件・課題・依存関係について、担当者や期限、対応状況などを一つの表で確認できれば、別にリスクレジスターを作成する必要はありません。

RAIDログだけで必要な情報を把握できる場合は、一つにまとめて管理すると分かりやすくなります。

リスクレジスターを作成すべきケース

リスクレジスターは、複数のリスクを評価し、優先順位を付けて対応する必要がある場合に役立ちます。

それぞれの発生確率や影響度、対応方法、担当者、期限などを詳しく記録することで、どのリスクから対策すればよいのか判断しやすくなります。

RAIDログだけではリスクの情報を十分に管理できないと感じた場合は、リスクレジスターの作成を検討するとよいでしょう。

RAIDログとリスクレジスターは併用すべき?

RAIDログとリスクレジスターは、プロジェクトの状況に合わせて併用することもできます。

RAIDログでリスク・前提条件・課題・依存関係をまとめて確認し、リスクレジスターでは個別のリスクをより詳しく管理します。

リスクの数が多い場合や、発生確率や影響度まで詳しく確認したい場合は、両方を使い分けると管理しやすくなります。

RAIDログとリスクレジスターの記載例

RAIDログとリスクレジスターの違いは、同じリスクをそれぞれに記載して比べると分かりやすくなります。

ここでは、同じリスクをRAIDログで管理する場合とリスクレジスターで管理する場合の記載例をそれぞれ紹介します。

同じリスクをRAIDログで管理する例

たとえば、「外部ベンダーからの納品が遅れ、システム開発の開始が遅れる可能性がある」というリスクを管理するとします。

RAIDログでは、種別を「Risk」、内容を「外部ベンダーの納品遅延により開発開始が遅れる可能性」、担当者を「開発責任者」、期限を「9月15日」、対応を「週1回納品状況を確認」、状態を「対応中」と記録します。

必要な情報を簡潔にまとめることで、ほかの課題や前提条件、依存関係とあわせて状況を確認できます。

同じリスクをリスクレジスターで管理する例

同じリスクをリスクレジスターで管理する場合は、発生確率や影響度なども詳しく記録します。

たとえば、発生確率・影響度・優先度をそれぞれ「高」とし、「週1回納品状況を確認し、予定日から3営業日以上遅れる見込みになったら代替調達を検討する」といった具体的な対応策を設定します。

さらに、担当者や期限、対応状況も記録しておくことで、リスクの優先順位を確認しながら必要な対応を進めやすくなります。

RAIDログとリスクレジスターに関するよくある質問

RAIDログとリスクレジスターを実際に運用しようとすると、「リスクレジスターはRAIDログの一部として扱えばよいのか」「両方を用意する必要があるのか」と迷うことがあります。

ここでは、RAIDログとリスクレジスターの関係や両方を作成する必要性、更新するタイミングについて順に説明します。

リスクレジスターはRAIDログの一部ですか?

リスクレジスターは、必ずしもRAIDログの一部というわけではありません。

RAIDログはリスク・前提条件・課題・依存関係をまとめて管理するのに対し、リスクレジスターはリスクに絞って詳しく管理するものです。

RAIDログのRisk欄だけで必要な情報を管理できる場合は、別にリスクレジスターを作成しなくても問題ありません。

両方を必ず作成する必要がありますか?

RAIDログとリスクレジスターは、必ず両方を作成する必要はありません。

リスクの内容や担当者、期限、対応状況などをRAIDログで十分に管理できる場合は、RAIDログだけでも運用できます。

発生確率や影響度、優先度、対応策まで詳しく管理したい場合は、リスクレジスターを併用するとよいでしょう。

更新するタイミングはいつですか?

RAIDログは、新しいリスクや課題などが見つかったときや、担当者・期限・対応状況に変化があったときに更新します。

リスクレジスターも、新しいリスクが見つかったときや、発生確率・影響度・対応策などが変わったときに内容を見直します。

定例会議を待つのではなく、変更が分かった時点で更新しておくと、関係者が最新の状況を確認しやすくなります。

まとめ

RAIDログとリスクレジスターは、管理する情報の範囲が異なります。RAIDログはリスク・前提条件・課題・依存関係をまとめて管理し、リスクレジスターはリスクをより詳しく管理するものです。

どちらを使うか迷ったときは、「何をどこまで管理したいのか」を考えてみましょう。RAIDログだけで十分な場合もあれば、リスクが多い場合はリスクレジスターを併用する方法もあります。

プロジェクトの規模や状況に合わせて、無理なく管理しやすい方法を選ぶことが大切です。

-プロジェクトマネジメント
-, ,