目次
プロジェクトマネジメントとは
プロジェクトマネジメントの概要
プロジェクトマネジメントとは、ある目標を達成するために、限られた期間や予算の中でプロジェクト全体を計画し、実行し、管理する一連の活動を指します。ビルの建設や新商品の開発、社内システムの導入といった、期間とゴールがはっきりしている仕事には、プロジェクトマネジメントが欠かせません。
どんなことを行うのか?
代表的な活動には「企画立案」「リスク管理」「資源(人や物、お金など)の管理」「日程表の作成」「進捗管理」「成果の評価」などが含まれます。例えば、イベントを開催する場合でも、開催日までに必要な作業を洗い出し、メンバーを割り当て、リスクが発生した時の対応策を考えておくことで、無事にイベントを終えることができます。
管理する対象は?
プロジェクトマネジメントでは、“何を”“どのように”進めるのかだけでなく、成果物(例えば完成品や新サービス)、人材の調達や役割分担、予算の管理、資材の手配、進捗や最終成果の評価など、さまざまな要素を細かく管理します。
なぜ重要か?
プロジェクトは規模の大小を問わず、計画通りに進まないことも少なくありません。トラブルや予想外の課題が発生したときに、きちんと対応できるよう、体系立てて管理することが重要なのです。
次の章では、「PMBOKとは何か」について解説します。
PMBOKとは何か
PMBOK(Project Management Body of Knowledge)は、プロジェクト管理の分野で世界的に認められている指針です。日本語では「ピンボック」と呼ばれており、その名前の通り、「プロジェクトマネジメントの知識体系」という意味を持ちます。これは、アメリカのプロジェクトマネジメント協会(PMI)が作成・発行しているもので、プロジェクトを計画的に、そして着実に進めるための方法や考え方を整理したガイドブックです。
PMBOKの大きな特徴は、様々な業界で使えるよう、実務経験などをもとにまとめられている点です。つまり、建設、IT、製造など、どんなプロジェクトにおいても活用できる標準的なルールが書かれています。また、世界中の多くの企業や組織がこのPMBOKを標準とすることで、共通の言葉や進め方でプロジェクトを管理できるようになっています。
例えば、大規模なビル建設から、社内の新システム導入まで、どんなプロジェクトでも「計画する」「実行する」「チェックする」といった基本的な流れがあります。PMBOKは、このような“プロジェクトの進め方”を分かりやすくまとめたものです。
世界中で多くのプロジェクト成功例がPMBOKに基づいて管理されており、国や業界を問わず広く普及しています。そのため、今やPMBOKは事実上の世界標準と言える存在となっています。
次の章では、PMBOKがどのような構成によって作られているのかを見ていきます。
PMBOKの構成
PMBOKとは何かの要約と継承
前章では、PMBOKがプロジェクトマネジメント分野で広く使われるガイドラインであること、そして世界共通の言語や方法論を提供している点を説明しました。この章では、PMBOKの具体的な構成について詳しく紹介します。
5つのプロセス群とは
PMBOKはプロジェクトを進める上で、大きく「5つのプロセス群」に分かれています。
- 立ち上げ:プロジェクトの目的や範囲を明確にし、関係者との合意を形成する段階です。たとえば、家を建てる場合は、「どんな家が欲しいか」「誰が住むか」などの基本をはっきりさせます。
- 計画:具体的なスケジュールや予算、必要な材料や人員を決めます。家づくりに例えると、「いつまでに完成させるか」「どんな材料を使うか」「どれくらいお金がかかるか」を決める作業です。
- 実行:事前に立てた計画に基づき、実際に作業を進めます。家でいえば職人さんが作業を開始する段階です。
- 監視・コントロール:進捗状況が計画通り進んでいるかをチェックし、問題が起きたときは計画の見直しや調整を行います。
- 終結:プロジェクトが完了したら成果を整理し、関係者と評価します。家の場合は完成の確認と引き渡しがこれに当たります。
10の知識エリア
次に、PMBOKの特徴として「10の知識エリア」があります。これは、プロジェクトのさまざまな局面で必要となる専門分野です。
- スコープマネジメント:プロジェクトで「何を作るか、どこまでやるか」を決め、変更を管理します。
- スケジュールマネジメント:作業の順番や期間など、全体のスケジュールを作成・調整します。
- コストマネジメント:予算の見積もりやお金の使い方を計画・コントロールします。
- 品質マネジメント:成果物の品質を計画し、期待どおりになるよう管理します。
- リスクマネジメント:将来起きそうな問題を予測し、備えをしておきます。
- 資源マネジメント:必要な人材や材料などを手配し、効率よく使います。
- コミュニケーションマネジメント:関係者どうしの情報共有がスムーズにいくよう調整します。
- 調達マネジメント:外部から必要な物やサービスを購入する手続きを管理します。
- ステークホルダーマネジメント:プロジェクトに関係する人々との関係や期待を管理します。
- 統合マネジメント:これらすべてをまとめ、プロジェクト全体の調和を維持します。
具体的な場面で考えると、たとえばカフェを開くプロジェクトなら、設備調達は「調達マネジメント」、スタッフの採用や役割分担は「資源マネジメント」、そして利益を出すためのコスト管理は「コストマネジメント」に該当します。
次の章では、PMBOKのバージョンとその変遷について紹介します。
PMBOKのバージョンと変遷
PMBOK(プロジェクトマネジメント知識体系ガイド)は、時代と共に実際のプロジェクト運営のニーズに合わせて内容が改訂されています。2021年には最新の第7版が登場しましたが、それ以前のバージョンとは大きくアプローチが異なっています。
第6版までの特徴
第6版までは、プロジェクトを進める際の流れや手順を中心に解説しており、「立ち上げ」「計画」「実行」「監視・コントロール」「終結」の5つのプロセス群に分かれていました。例えば、計画を立てる時に必要な作業を書き出したり、進捗を確認するポイントが細かく規定されていたのが特徴です。このため、これからプロジェクトマネジメントを学ぶ人は、第6版で基本的な手順や用語をしっかり押さえると良いでしょう。
第7版の主な変化
第7版では「原則(プリンシプル)」や「成果価値」に重きを置く内容へと変化しました。これは、組織やプロジェクトの形が多様化し、従来のきっちり決まったプロセスだけでは対応できないケースが増えているからです。例えば、計画が頻繁に変わるITプロジェクトや、スピード重視の開発現場などでは、第7版の柔軟な考え方が役立ちます。
初心者へのおすすめの学び方
初めてPMBOKに触れる方は、最初に第6版で基本的な流れや用語を学ぶと混乱しにくいです。その後、第7版で現代的な価値観や柔軟な対応方法に目を向けると、実際の仕事にも応用しやすくなります。
次の章に記載するタイトル:初心者におすすめの学習方法・書籍
初心者におすすめの学習方法・書籍
入門書籍のおすすめ
プロジェクトマネジメントやPMBOKを学ぶ最初の一歩として、初心者向きの書籍を活用するのが効果的です。たとえば「PMBOKはじめの一歩 スッキリわかるプロジェクトマネジメントの基本」は、専門用語を平易に解説し、初めての人でも理解しやすい内容です。実際の仕事の事例や、日常生活にも応用できるヒントが豊富なので、イメージしながら学べる点が特徴です。図やイラストも多く、読んでいて飽きにくい構成です。
現代的な手法も併せて学ぼう
最近では、アジャイルやリーンといった柔軟な進め方も注目されています。初心者向けの本でも、PMBOKとこれら現代的な手法の違いや特徴を分かりやすく比較するコーナーが増えています。複数の手法を知ることで、自分に合った進め方や、プロジェクトの種類ごとに最適な方法を選ぶ力が身につきます。
オンラインでの学習環境も活用
書籍だけでなく、PMI日本支部が運営する公式サイトには、学習リソースや体験談など役立つ情報がまとめられています。また、最近はeラーニングやオンライン講座も多く利用でき、パソコンやスマートフォンがあれば自分のペースで学べます。動画解説やクイズ形式のコンテンツが用意されたサイトもあるので、スキマ時間を利用して知識を深められます。
次の章に記載するタイトル:プロジェクトマネジメントを成功させるポイント
プロジェクトマネジメントを成功させるポイント
プロジェクトの目的やゴールを明確にする
プロジェクトを始める際には、何のために行うのか、最終的にどんな成果を得たいのかをはっきりさせることが大切です。たとえば、「新しい商品を半年以内に発売する」など具体的なゴールを設定すると、関係者全員が同じ目標に向かって進めます。
関係者との合意形成を重視する
プロジェクトには多くの人が関わります。早い段階で関係者の意見や希望をしっかり聞き、納得してもらうことが円滑な進行につながります。例えば、定期的な打ち合わせで進捗を共有したり、疑問点があればすぐに話し合いましょう。
綿密な計画と柔軟な対応力
計画を立てることも大事ですが、予期しない出来事が起きることもあります。最初に計画をしっかり作った上で、状況に応じて見直しをする柔軟さも必要です。例えば、納期がずれそうなときは原因を探ってできる対応策を考えましょう。
適切なコミュニケーションやリスク管理
チームの間で情報をしっかり伝えることや、問題が発生した場合に早めに対策を取ることが重要です。例えば、「もし遅れが発生したらどう対応するか」を事前に決めておくと、安心して進められます。
これらのポイントを意識することで、プロジェクトの成功に近づけます。