プロジェクトマネジメント

トータルフロートの計算方法がすぐわかる|式と求め方を例で解説

はじめに

「トータルフロートの計算式は覚えたのに問題になると解けない……」
「最早時刻や最遅時刻を求めた後、どの数字を使って計算すればよいの?」と迷っていませんか。

基本情報技術者試験や応用情報技術者試験、プロジェクトマネジメントの学習でネットワーク図を解いていると、最早開始時刻や最遅開始時刻までは求められても、トータルフロートの計算になると手が止まってしまうことがあります。

この記事では、トータルフロートの意味や計算式、実際の求め方を例題を使いながらわかりやすく解説します。

トータルフロートとは?

トータルフロートを正しく理解するには、まず「何のための余裕時間なのか」を整理することが大切です。

ここでは、トータルフロートの基本的な意味と、値が0の場合にどのような状態になるのかを確認していきましょう。

作業が遅れても全体工程に影響しない余裕時間のこと

作業が予定より遅れても、プロジェクト全体の完了日に影響しない余裕日数をトータルフロートといいます。

例えば、トータルフロートが3日なら、その作業は3日まで遅れても問題ありません。ただし、4日以上遅れると後続工程に影響し、プロジェクト全体の完了日も遅れてしまいます。

つまり、トータルフロートは「全体工程に影響を与えずに遅らせられる日数」と考えると分かりやすいでしょう。

トータルフロートが0の作業は遅れると全体工程に影響する

トータルフロートが0の作業には、遅れを吸収できる余裕がありません。

そのため、1日でも遅れると後続作業やプロジェクト全体の完了日に影響します。

予定どおりに進める必要があるため、トータルフロートが0の作業は特に注意して管理することが大切です。

トータルフロートの計算式

トータルフロートは意味だけでなく、計算式も正しく理解しておく必要があります。

ここでは、基本となる計算式と、別の表記で求める方法について確認していきましょう。

基本式

トータルフロートは「最遅完了時刻-最早開始時刻-所要時間」で求めます。

最遅完了時刻から最早開始時刻を引くと、その作業に割り当てられた期間が分かります。

さらに所要時間を引くことで、全体工程に影響を与えずに遅らせられる余裕日数を計算できます。

「最遅完了時刻-最早完了時刻」で求める場合もある

トータルフロートは、「最遅完了時刻-最早完了時刻」で求める場合もあります。

最早完了時刻は作業が最も早く終わる時刻、最遅完了時刻は全体工程を遅らせずに完了できる限界時刻です。

両者の差を求めることで、作業をどれだけ遅らせても全体工程に影響しないかを確認できます。

トータルフロートの計算に使う用語の意味

トータルフロートを計算するには、式に出てくる各用語の意味を理解しておくことが欠かせません。

まずは計算で使う4つの用語の意味を順番に確認していきましょう。

『最早開始時刻』

最早開始時刻とは、先行する作業がすべて終わったあと、その作業を最も早く開始できる時刻のことです。

例えば、前の作業が5日目に完了する場合、次の作業の最早開始時刻は5日目になります。

前進計算で求めた開始可能時刻が、最早開始時刻として使われます。

『最早完了時刻』

最早完了時刻とは、その作業を最も早く開始した場合に完了できる時刻です。

最早開始時刻に所要時間を加えて求めます。

例えば、最早開始時刻が2日目、所要時間が5日の場合、最早完了時刻は7日目になります。最も早く開始したときの完了時刻と考えると分かりやすいでしょう。

『最遅完了時刻』

最遅完了時刻とは、その作業がプロジェクト全体の完了日を遅らせずに完了できる限界の時刻です。

後続作業の開始時刻や最終工程の完了日から逆算して求めます。この時刻を過ぎると後続作業にも影響し、プロジェクト全体の完了日が遅れてしまいます。

『所要時間』

所要時間とは、その作業を開始してから完了するまでに必要な時間です。

ネットワーク図では、「3日」「5日」のように各作業ごとに示されます。最早完了時刻や最遅開始時刻を計算するときに使うため、作業ごとの日数を正しく確認することが大切です。

トータルフロートの計算手順

トータルフロートは計算式を覚えるだけでなく、どの順番で数値を確認するかを理解しておくとミスを減らせます。

ここでは、実際の計算手順を順番に確認していきましょう。

最早開始時刻と所要時間を確認する

まず、対象となる作業の最早開始時刻と所要時間を確認します。

最早開始時刻は前進計算で求めた開始可能時刻、所要時間はその作業に必要な日数です。

トータルフロートの計算で使う数値なので、計算を始める前に正しく確認しておきましょう。

最遅完了時刻を確認する

次に、対象作業の最遅完了時刻を確認します。

最遅完了時刻は、後退計算で求めた全体工程の完了日を遅らせずに作業を完了できる限界の時刻です。

トータルフロートの計算に必要な数値なので、対象作業の値を正しく確認しましょう。

式に当てはめて余裕時間を求める

最早開始時刻、所要時間、最遅完了時刻を確認したら、「最遅完了時刻-最早開始時刻-所要時間」の式に当てはめて計算します。

結果が3なら余裕時間は3日、0なら余裕時間はありません。計算結果が、その作業を全体工程に影響を与えずに遅らせられる日数になります。

数字を使ったトータルフロートの計算例

計算式や手順を理解したら、実際の数値を使って確認してみましょう。

ここでは簡単な例で計算の流れを追っていきます。

最早開始時刻が2|所要時間が5|最遅完了時刻が10の場合

最早開始時刻が2、所要時間が5、最遅完了時刻が10の場合は、「10-2-5」で計算します。

結果は3になるため、この作業のトータルフロートは3です。

つまり、この作業には3日分の余裕があり、その範囲であれば全体工程の完了日に影響しません。

10-2-5でトータルフロートは3になる

最遅完了時刻10から最早開始時刻2と所要時間5を引くと、「10-2-5=3」になります。

計算結果の3がトータルフロートです。つまり、この作業には全体工程の完了日に影響を与えずに使える余裕時間が3日あります。

3日分なら作業が3日遅れても全体工程には影響しない

トータルフロートが3であれば、その作業は予定より3日遅れてもプロジェクト全体の完了日に影響しません。

3日以内の遅れであれば、最遅完了時刻の範囲に収まるためです。ただし、4日以上遅れると全体工程の完了日も遅れてしまいます。

トータルフロート計算で間違えやすい点

トータルフロートの計算は手順自体は難しくありませんが、用語の取り違えや計算漏れによって誤答になることがあります。

ここでは、トータルフロートを求める際によくある間違いを確認していきましょう。

最早開始時刻と最早完了時刻を混同しない

トータルフロートの基本式で使うのは、最早開始時刻です。

最早完了時刻を入れてしまうと、所要時間を二重に計算することになり、正しい答えになりません。計算するときは、開始時刻と完了時刻を取り違えないよう確認しましょう。

所要時間を引き忘れない

トータルフロートは「最遅完了時刻-最早開始時刻-所要時間」で求めます。

計算するときに所要時間を引き忘れると、余裕時間を実際より大きく見積もってしまうため注意が必要です。

例えば、最遅完了時刻10、最早開始時刻2、所要時間5の場合、正しいトータルフロートは「10-2-5=3」になります。

まずは公式どおりに計算することを意識すると、ミスを防ぎやすくなります。

フリーフロートとの違いは全体工程への影響で判断する

トータルフロートは、作業が遅れたときにプロジェクト全体の完了日に影響するかどうかを見る指標です。

一方、フリーフロートは後続作業への影響だけを確認します。違いが分からなくなったときは、「全体の完了日が変わるか」を基準に考えると整理しやすくなります。

0の場合は余裕がない作業として見る

トータルフロートが0の場合、その作業には遅れを吸収できる余裕がありません。

予定より少しでも遅れると、後続工程やプロジェクト全体の完了日に影響する可能性があります。

そのため、計算結果が0なら、余裕のない重要な作業として管理することが大切です。

まとめ

トータルフロートとは、作業が遅れてもプロジェクト全体の完了日に影響しない余裕時間のことです。

値が大きいほど余裕があり、0の場合は少しの遅れでも全体工程に影響するため、特に注意して管理する必要があります。

計算式はいくつかありますが、まずは「最遅完了時刻-最早開始時刻-所要時間」を基本として覚えておけば十分です。

計算するときは、最早開始時刻と最早完了時刻を混同しないことや、所要時間を引き忘れないことを意識するとミスを防ぎやすくなります。

また、フリーフロートとの違いに迷ったときは、「プロジェクト全体の完了日に影響するかどうか」を基準に考えると整理しやすくなります。

まずは基本的な考え方と計算方法を押さえ、問題演習や実際の工程管理の中で少しずつ慣れていきましょう。

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