ヘルスケア業界のスキル(看護・医療管理)

▶傾聴とは?看護で大切な理由と基本姿勢・実践方法をわかりやすく解説 

はじめに

「患者さんの話を聞いているつもりなのに、傾聴ができているのか分からない」
「不安やつらさを打ち明けられたとき、どのように返せばよいの?」と迷っていませんか。

看護の現場では、患者さんの話を聞く機会が多いものの、業務に追われて会話の時間を十分に取れなかったり、沈黙が続くと何か話さなければと焦ったりすることもありますよね。

この記事では、看護における傾聴の意味や大切な理由、患者さんと向き合うときの基本姿勢、実際の会話で取り入れられる方法を順を追って説明していきます。

傾聴とは?

看護における傾聴を理解するには、まず傾聴そのものがどのような姿勢を指すのかを押さえる必要があります。

ここでは、傾聴の基本的な意味と看護で行う目的、単に「聞く」こととの違いを順に説明します。

傾聴とは

傾聴とは、相手の話にしっかりと耳を傾け、その言葉や気持ちを理解しようとする姿勢のことです。

途中で自分の意見を挟まず、「何を伝えたいのか」を意識しながら最後まで話を聞くことが大切です。

また、言葉だけでなく、声の調子や表情、話す速さにも目を向けると、相手の気持ちをより丁寧に受け止めやすくなります。

看護における傾聴の目的

看護における傾聴には、患者が抱えている不安や希望、困っていることなどを理解する目的があります。

話を途中で遮らずに耳を傾けることで、患者が何を負担に感じ、どのようなことを望んでいるのかを把握しやすくなります。

患者が自分の言葉で話せるように寄り添いながら聞くことは、その人に合った看護を考えるうえでも大切です。

聞くことと傾聴の違い

「聞くこと」は、相手が話した言葉や情報を受け取ることを指します。

一方、傾聴では、話の内容だけでなく、その言葉に込められた気持ちや思いまで理解しようとすることが大切です。

相手の話を最後まで聞き、うなずいたり必要に応じて内容を確認したりしながら、丁寧に理解しようとする点に違いがあります。

看護で傾聴が大切な理由と期待できる効果

看護で傾聴を行うことは、患者の話を聞くだけでなく、その人が抱えている不安や希望を知り、必要な支援を考えるために役立ちます。

ここでは、看護で傾聴が大切な理由と期待できる効果を順に説明します。

患者との信頼関係を築きやすくなる

患者の話を途中で遮らず、うなずきや相づちを交えながら聞くことで、「きちんと話を聞いてもらえている」と感じてもらいやすくなります。

すぐに否定したり看護師の意見を伝えたりせず、患者の言葉を受け止めながら話を聞くことも大切です。

こうした関わりを続けることで、患者も自分の気持ちや考えを話しやすくなり、少しずつ信頼関係を築いていけます。

患者の本音や不安を把握しやすくなる

患者の話に丁寧に耳を傾けることで、どのようなことに不安を感じ、何を心配しているのかを把握しやすくなります。

話している内容だけでなく、表情や声の調子、言葉に詰まる様子などにも目を向けると、言葉だけでは伝わりにくい気持ちに気づくこともあります。

気になった部分は患者に確認しながら聞くことで、思い込みを避けながら本人の思いを理解しやすくなるでしょう。

適切な看護やケアにつながる

傾聴を通して患者の不安や希望、困っていることを知ることは、その人に合った看護やケアを考えるうえでも役立ちます。

患者が何を必要としているのかを本人の言葉から確認できれば、看護師側の判断だけでケアを進めることも避けやすくなります。

患者から聞いた内容を日々の看護に生かすことで、本人の気持ちや状況に寄り添った支援につなげられます。

看護師のより良いコミュニケーションや看護実践につながる

患者の話を丁寧に聞く経験を重ねることは、看護師自身のコミュニケーションを振り返るきっかけにもなります。

「話を途中で遮っていなかったか」「自分の考えを先に伝えていなかったか」などを振り返ることで、患者がより話しやすい関わり方を考えられます。

こうした気づきを日々の患者対応に生かしていくことが、より良いコミュニケーションや看護実践につながります。

看護で実践したい傾聴の基本姿勢

看護で傾聴を実践する際は、患者の話を途中で評価したり結論を急いだりせず、まず相手の言葉を受け止める姿勢が求められます

ここでは、看護で傾聴するときに意識したい基本姿勢を順に説明します。

相手を否定せず受け止める

患者の話を聴くときは、自分の考えと違っていても、すぐに否定したり正しい・間違っていると判断したりせず、まずは最後まで耳を傾けることが大切です。

「そう感じているのですね」など、患者の思いを受け止める言葉を返すと、安心して話しやすくなります。

看護師の意見を先に伝えるのではなく、患者自身の気持ちや考えをゆっくり聴いていきましょう。

共感しながら話を聴く

共感しながら聴くためには、患者がどのような気持ちで話しているのかを考え、その思いに寄り添うことが大切です。

不安を話しているときも、すぐに解決しようとするのではなく、まずは何を不安に感じているのかを丁寧に確認します。

患者の言葉を言い換えて返したり、気持ちを確かめたりすると、理解にずれがないか確認しながら話を聴けます。

患者のペースを尊重する

患者が言葉に詰まったり沈黙したりしたときは、すぐに次の質問をするのではなく、本人が話し始めるまで少し待つことも大切です。

会話を急いで進めてしまうと、患者が気持ちや考えを整理する時間を十分に取れないことがあります。

話す速さや間を大切にしながら待つことで、患者も自分の言葉でゆっくりと気持ちを伝えやすくなります。

言葉だけでなく表情や態度にも目を向ける

患者の気持ちを理解するためには、言葉だけでなく、表情や視線、声の調子、姿勢などにも目を向けてみましょう。

「大丈夫」と話していても、表情が硬かったり声が小さかったりするなど、言葉とは異なる様子が見られることもあります。

言葉と表情や態度の両方を丁寧に見ることで、患者がうまく言葉にできていない思いにも気づきやすくなります。

看護で傾聴を実践する方法

看護で傾聴を実践するには、患者が話しやすいように会話の進め方を工夫する必要があります。

ここでは、看護の場面で取り入れやすい傾聴の具体的な方法を順に説明します。

最後まで話を遮らずに聴く

患者が話しているときは、途中で看護師の意見を挟んだり、話の続きを予測したりせず、まずは最後まで耳を傾けることが大切です。

言葉に詰まったときも、すぐに質問を重ねるのではなく、次の言葉が出てくるまで少し待ってみましょう。

ゆっくりと話を聴くことで、患者も自分の気持ちや考えを自分の言葉で伝えやすくなります。

うなずきや相づちを適切に使う

患者の話を聴くときは、話の区切りに合わせてうなずいたり、「はい」「そうなのですね」と相づちを入れたりすると、聴いていることが伝わりやすくなります。

ただし、相づちが多すぎると話を遮ってしまうこともあるため、会話の流れに合わせて自然に取り入れることが大切です。

患者の話す速さや間に合わせながら、落ち着いて反応することを意識しましょう。

質問を使って気持ちを引き出す

患者の気持ちを知りたいときは、「どのように感じていますか」など、本人が自由に答えられる質問を取り入れてみましょう。

いくつも質問を続けるのではなく、一つずつ尋ね、返ってきた言葉を最後まで聴くことが大切です。

患者が話した内容に沿って質問することで、決めつけることなく、その人の思いや不安を丁寧に確認できます。

要約や確認を行い認識を共有する

患者の話を聴いた後は、内容を簡単にまとめて伝え、お互いの認識にずれがないか確認することも大切です。

「このように理解しましたが、合っていますか」と尋ねることで、患者も必要に応じて説明を補いやすくなります。

もし理解が異なっていた場合は、改めて話を聴きながら確認し、患者の思いをより正確に受け止めていきましょう。

看護で傾聴を行うときの注意点

看護で傾聴を行う際は、患者の話を聴いているつもりでも、看護師自身の考えを伝えすぎたり、良かれと思って励ましたりすると、患者が本音を話しにくくなることがあります。

ここでは、看護で傾聴するときに避けたい対応と、傾聴が難しい場面で意識したいポイントを説明します。

自分の意見や価値観を押し付けない

患者の話を聴くときは、看護師自身の経験や考えだけを基準にせず、患者がどのように感じ、考えているのかを大切にしましょう。

「こうしたほうがよい」とすぐに意見を伝えるのではなく、まずは患者の話を最後まで聴くことが大切です。

看護師の考えを先に示さないことで、患者も周囲に合わせることなく、自分の気持ちを話しやすくなります。

安易な励ましや否定を避ける

患者が不安やつらさを話しているときは、すぐに「大丈夫です」「頑張りましょう」と励ますのではなく、まずはその気持ちを受け止めることが大切です。

よかれと思った言葉でも、患者によっては「気持ちを分かってもらえなかった」と感じ、話しにくくなることがあります。

何を不安に感じているのかを丁寧に確認しながら、その人の思いに寄り添って聴いていきましょう。

傾聴が難しい場面で意識したいポイント

忙しくて時間が限られているときは、今どのくらい話を聴けるのかを患者に伝え、その範囲で丁寧に耳を傾けることが大切です。

患者がうまく言葉にできない場合も、質問を重ねて答えを急がせず、沈黙を待ちながら本人のペースを尊重しましょう。

限られた時間のなかでも、一つずつ気持ちを確認していくことで、患者の思いを決めつけずに受け止めやすくなります。

看護における傾聴でよくある質問

看護で傾聴を実践しようとすると、「共感することと傾聴することは同じなのか」「患者が話してくれない場合はどう関わればよいのか」と迷うことがあります。

ここでは、看護における傾聴でよくある3つの質問について順に説明します。

傾聴と共感は何が違う?

傾聴は、相手の言葉や表情、声の調子などに注意を向けながら、何を伝えたいのかを理解しようと話を聴くことです。

一方、共感は、相手の立場に寄り添い、不安やつらさなどの気持ちを理解しようとすることを指します。

患者の話を丁寧に聴きながら気持ちを受け止めることで、傾聴と共感の両方を意識した関わりにつながります。

患者が話してくれないときはどうする?

患者がなかなか話してくれないときは、無理に質問を続けたり、返事を急かしたりせず、本人のペースを大切にしましょう。

沈黙が続いてもすぐに会話を埋めようとせず、表情や視線などを見ながら、話し始めるのをゆっくり待つことも大切です。

話したくない様子が見られる場合は無理に会話を続けず、患者が話せる範囲を尊重しながら関わっていきます。

聞くだけでも傾聴になる?

ただ相手の声を聞いているだけでは、十分な傾聴とはいえません。

傾聴では、患者の話を遮らずに聴くだけでなく、表情や声の調子にも目を向けながら、何を伝えたいのかを理解しようとすることが大切です。

うなずきや相づちを交えたり、必要に応じて内容を確認したりしながら、患者の気持ちや考えを丁寧に受け止めていきましょう。

まとめ

看護における傾聴では、患者の言葉だけでなく、表情や声の調子にも目を向けながら、その人の気持ちを理解しようとすることが大切です。

話を遮ったり、すぐに励ましたりせず、患者のペースに合わせて丁寧に耳を傾けてみましょう。

日々の関わりのなかで少しずつ意識することが、信頼関係やその人に合った看護につながります。

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